ヤス#120
ヤス#120
二人は列車に乗り込むと西に向かった。
まだ陽は高いところにある。小一時間程で加布里という田舎町で降りた。ヤスも初めて来る町だ。駅から十分程歩くと漁師町に出た。波戸場には多くの漁船が停泊していて、さながら故郷の崎戸島のようだった。二人は海岸に下りると、手を繋ぎ、波打ち際を歩いていった。
「崎戸島みたいなところね」
「そうだね。こんなところがあるなんて思わなかったよ」
「きゃ!カニがいる」
「この辺はアラカブが釣れそうだな…」
「ふふっ。昔のやっちゃんに戻ったわね」
「えっ?ああ、漁師が体に染み付いているんだろうね」
暫く歩くと岩場になっている。その岩場を乗り越えると行き止まりだった。
「ああ…ここまでか」
「ふぅ。えっ?もう行けないの?」
「うん。ここまでだよ。お母さん、さっき買ったジュースを飲もうか」
「はい。やっちゃん」
二人は岩影に座ると、缶ジュースのプルトップを引いた。
泰子は額に汗を滲ませていた。ヤスはシャツを脱ぎ、肩にかけている。
「男のひとはいいわね」「ハハハ。お母さんも脱げばいいさ。誰も見ちゃいないよ」
「ふふっ。恥ずかしいから止しとくわ」
二人は列車に乗り込むと西に向かった。
まだ陽は高いところにある。小一時間程で加布里という田舎町で降りた。ヤスも初めて来る町だ。駅から十分程歩くと漁師町に出た。波戸場には多くの漁船が停泊していて、さながら故郷の崎戸島のようだった。二人は海岸に下りると、手を繋ぎ、波打ち際を歩いていった。
「崎戸島みたいなところね」
「そうだね。こんなところがあるなんて思わなかったよ」
「きゃ!カニがいる」
「この辺はアラカブが釣れそうだな…」
「ふふっ。昔のやっちゃんに戻ったわね」
「えっ?ああ、漁師が体に染み付いているんだろうね」
暫く歩くと岩場になっている。その岩場を乗り越えると行き止まりだった。
「ああ…ここまでか」
「ふぅ。えっ?もう行けないの?」
「うん。ここまでだよ。お母さん、さっき買ったジュースを飲もうか」
「はい。やっちゃん」
二人は岩影に座ると、缶ジュースのプルトップを引いた。
泰子は額に汗を滲ませていた。ヤスはシャツを脱ぎ、肩にかけている。
「男のひとはいいわね」「ハハハ。お母さんも脱げばいいさ。誰も見ちゃいないよ」
「ふふっ。恥ずかしいから止しとくわ」
感想
感想はありません。