MURASAME
平将門?
旧日本軍人達の凶刃が竜助を捉えた。
その攻撃は凄まじく竜助の体を後ろに下げさせた。
「…マズい…」
竜助が離れると軍人達の動きが止まった。彼らは竜助に近づこうとせずただ彼の周りを回るだけだった。
「…なん…だ?」
竜助が不意に後ろを見る。そこにはハチ公像が立っていた。ハチ公像は奇妙な光を発しながら、その軍人達を睨みつけていた。
「…二…二…六」
「……二・二……ろく…」
ハチ公像を前にして軍人達から呟きの様な言葉が漏れる。ある者は憤怒を、ある者は悦びを表しているように見えた。
「二・二六…?だったら…この人達は…」
不意にハチ公像の目が輝いた。その瞬間、辺りはまばゆい光に包まれた。竜助は思わず目を瞑る。聞こえるのは軍人達の悲鳴だった。
「それで…?」
村神の顔が僅かに歪む。言葉にはいつも以上の重圧がかかっている様に感じられた。
「目を開けてみたら軍人達は消えていて、渋谷駅はいつもと同じように人で溢れていました」
「そうか…」
村神は何故か思い詰めた顔をしていた。いつもと変わらない無愛想な顔に僅かに焦りが見えた。
「これはもう、俺達が対処できる問題ではない」
村神は絞り出すような声で言った。
「では…」
「お前にも分かる筈だ…二・二六の悪鬼どもが蘇り、帝都の狛犬が動いた…下手をすれば、帝都が消滅する」
村神は竜助を見つめた。
「どうすれば…いいのです…?」
竜助の顔が強張る。声が震え、背筋に汗が流れた。
「お前は蔵王丸様の下へいけ、あの方ならもう既に動いている筈だ…話は俺がつけておく」
竜助は静かに頷くと何も言わず部屋から出ていった。
この時、竜助も村神も気付かなかったことがある。
あの夜以来、帝都の狛犬であるハチ公像にひびが入っているのだ。
旧日本軍人達の凶刃が竜助を捉えた。
その攻撃は凄まじく竜助の体を後ろに下げさせた。
「…マズい…」
竜助が離れると軍人達の動きが止まった。彼らは竜助に近づこうとせずただ彼の周りを回るだけだった。
「…なん…だ?」
竜助が不意に後ろを見る。そこにはハチ公像が立っていた。ハチ公像は奇妙な光を発しながら、その軍人達を睨みつけていた。
「…二…二…六」
「……二・二……ろく…」
ハチ公像を前にして軍人達から呟きの様な言葉が漏れる。ある者は憤怒を、ある者は悦びを表しているように見えた。
「二・二六…?だったら…この人達は…」
不意にハチ公像の目が輝いた。その瞬間、辺りはまばゆい光に包まれた。竜助は思わず目を瞑る。聞こえるのは軍人達の悲鳴だった。
「それで…?」
村神の顔が僅かに歪む。言葉にはいつも以上の重圧がかかっている様に感じられた。
「目を開けてみたら軍人達は消えていて、渋谷駅はいつもと同じように人で溢れていました」
「そうか…」
村神は何故か思い詰めた顔をしていた。いつもと変わらない無愛想な顔に僅かに焦りが見えた。
「これはもう、俺達が対処できる問題ではない」
村神は絞り出すような声で言った。
「では…」
「お前にも分かる筈だ…二・二六の悪鬼どもが蘇り、帝都の狛犬が動いた…下手をすれば、帝都が消滅する」
村神は竜助を見つめた。
「どうすれば…いいのです…?」
竜助の顔が強張る。声が震え、背筋に汗が流れた。
「お前は蔵王丸様の下へいけ、あの方ならもう既に動いている筈だ…話は俺がつけておく」
竜助は静かに頷くと何も言わず部屋から出ていった。
この時、竜助も村神も気付かなかったことがある。
あの夜以来、帝都の狛犬であるハチ公像にひびが入っているのだ。
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