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航宙機動部隊第三章・40

[436]  まっかつ  2007-08-04投稿
ダイニ宙将もその他の提督連もそれには直接反応は示さなかったが、その場の空気は確かに一瞬凍結し、大小無数の波紋が水面下でぶつかり合うのを、クレオン=パーセフォンもそしてエタンもひしひしと感じ取れたのだ。
『仮にこの戦法が大成功を収めても、我が方の一割以上、最低七0万名は生還出来ないでしょう』
左総長は更に数秒の間を置いてから、
『最悪の形で失敗した場合―その暁には味方の八九%が戦死・もしくは行方不明と言う結果と相成りましょう』
『―それは、全滅と考えて良いのかね?』
第五宇宙軍司令官はやはり淡々と確認を求め―\r
『―はい』
クレオンもそれを否定はしなかった。

だが、実戦部隊の総意はもう決まっていたのだ。
『確かにこいつはヤバイ作戦だな』
一同を代表してその総意を伝える役目を買って出たのは、今年で一0八才の最長老格、第二宇宙軍司令官マヌエルホーホ宙将だった。
『だがな左総長。あんたの言う通り相手が相手だ。そこまでやらなきゃ勝ち目がゼロな事位、ここにいる全員初めから分かっている』
そして、豊かな白髯と共に辺りを見回しながら、
『皇帝陛下の宣旨あらば我等はどこまでも付き従おう。陛下の御心や如何に!?』
結論は分かっている。
分かってはいるが、それにかけられた重みはとてつもなく大きい。
だが、エタンは言わねばならなかった。
『諸将よ。私の心はクレオン=パーセフォンと共にある。彼の作戦に全幅の信頼を寄せよう―そして同時に私は常に帝国と、そして君達と共にある。今回の決戦は桁違いに強大な勢力・進歩した文明が相手だが、私は陣頭に立とう―だから全軍一致して、作戦を完遂して欲しい』
すると、参集した幹部達は残らず起立して、玉座のエタンに一斉に敬礼した。
皇帝も立ち上がり、厳粛な面持ちでそれに答礼する。

ここに、統合宇宙軍は史上類を見ない戦いへ足を踏み入れる事を選択したのだ。


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