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緑の惑星,2

[556]  金田七耕助  2007-08-06投稿
 未知の生物の出現に、我々三人は警戒しながら、少しずつ前進して行った。念のために、それぞれ手にはレーザー銃を持った。
 近づくにつれて、それは人間あるいは動物ではなく、サボテンのような植物らしいことが分かってきた。高さ2メートル位で、手足を広げたような枝があるために、人のように見えたのだろうか。
 しかし、確かに歩いているように見えたのに、不思議だ。どんな錯覚がありうるというのか。それに、他には同じモノがどこにも見えないのも不自然だ。
 間近で見てみると、丁度大人の男性の胴体くらいの太さで、トゲの無いサボテンのような肌をしている。これだけ育つというのは、地下水脈があるに違いない。
 三人ともレーザー銃を手放し、しゃがんで根元を調べようとしたとき、二人の隊員から低い悲鳴があがった。
 見ると、さっきまで立っていたサボテンに、隊員二人とも押さえ付けらる巻き付かれている。同時に、私の目の前のサボテンが二本の腕で私の頭を挟み、動けなくした。
 私は岩のように硬い腕で固定されているだけだが、二人の隊員の体にはサボテンの白い根がぐんぐんん伸びて入り込み、頭も胴体も根でサボテンと繋がっている。
 思わず私は、その異様な光景から目を逸らした。
 しばらくして、それらは根を完全に後退させると、見る見る人の形、いや隊員二人とそっくりの姿になった。本物の隊員二人は倒れたまま微動だにしない様子だ。
 そのとき、目の前のサボテンも人類の形になり、私に言った。
 「あの二人の遺伝子情報と記憶はすべてコピーさせてもらった。地球の調査に行きたいので、お前に案内してほしい。二人の隊員そっくりだから、地球に帰っても誰にも怪しまれないはずだ。」
 こうして、私は十分な食料と植物や岩のサンプルをもらい、偽の隊員と共に、無事地球に帰還した。未知の惑星を発見したとして、私たち三人は英雄扱いされた。

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