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君だけを(6)

[285]  じゅりあ  2007-08-07投稿
(あれ…咳止まっちゃった?)

井上はゆっくり立ち上がると振り返り、

「別に…怒ってる訳じゃねーよ…」

それだけ言うとまた、背中を向けた。

(なんだ…)

拍子抜けしてしまう。

(なんだ、なんだ〜、多分こいつ、ただの恥ずかしがり屋なだけなんだ…)

「ははっ!」
「何笑ってんだよ」
「や、別に、ククッ…」
井上が顔を赤くして睨んでる。

あ〜、あの井上君が…クール振ってる井上君が、実は恥ずかしがりだとは…。

(誰も知らないんだろうな〜♪)

そう思ったら何か嬉しくて、更に笑いが止まんなかった。

「出来上がったら見せてよ。また来るから♪」
そう言って廊下に出た。
ドアの隙間から「うるせーよ」って聞こたけど無視。
だって井上の完成した絵、見るの楽しみなんだもん。
それに…アイツのあの反応見んのも(笑)


「何スキップしてんのさ」
後ろからサヤに突っ込み入れられた。
「いや、天気が良いので♪」
「意味わからん〜!(笑)」
井上の事は誰にも秘密だ。
言っちゃうと面白くないし。
(しかし、あの性格だと完成しても教えてくんないか?そうだ、しょっちゅう顔出してやろう♪)

一人企む七海さんなのだった。

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