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君だけを(7)

[239]  じゅりあ  2007-08-07投稿
今日もまた、あの美術室へ足を運ぶ。

「出来た!?」
「……」
黙って手を動かしてる辺り、まだなんだなと勝手に解釈。

「その男の人見た事あるよーな気、するんだよね…俳優?」
私はスケッチブックに目をやった。
ピクリと反応して、目を落としたまま
「モデル」
と答える井上。

「どーりで、綺麗だと思った!でも、何でその人を描いてんの?」

「…好きだから」

(へぇぇ)

「まさかそっちの気があるとは…」
「違うわ!」

井上にしてはすかさず突っ込み。
誤解されたくなかったのか(笑)

「ジョーダンだって!ムキになんなよ〜(笑)」

井上の向い側の机に座って、足をぶらつかせる。

「じゃーさ…


私も描いてよ」

思い切って言ってみた。

井上は私を見上げるとまた視線を落とす。

(無言かよ〜)

嫌だって言われたみたいでちょっとショック。

「嘘、嘘だって!私をモデルにするなら高くつくわよ♪」
わざと気持ちを誤魔化して言うと、井上は
「バカ…」
と呟いた。

「何それ、ひっど!」

けど何か、井上が笑ってるように見えたからか、今の「バカ」は嫌じゃなかったんだな。



次の日も、また次の日も私はここを訪れる…。

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