緑の惑星.3
緑惑星人に遭遇してからの出来事は命懸けだったので、記憶も曖昧で意識もぼんやりしていた。正常な思考力を取り戻したのは、地球帰還の宇宙船に乗り込み、自動制御システムに切り替え、何時間か睡眠をとった後のことである。
サボテンの怪物に襲われた直後の記憶が甦ってきた。二人の飛行士、アイザックとリチャードの全身に奴らの無数の白い根が突き刺さり、そこから遺伝子や記憶といった情報を取得していたようだ。そのときは、頭も体も穴だらけだったはずだが、根が抜かれた後は元どおりで、どこにも傷一つなかった。その後、地球に出発する私を見送るときも、元気は無かったが、身体に損傷はないようだった。
現場にいた奴らのボスが、緑惑星人が地球に行ってから無事に帰るまでの『人質』として、二人の地球人を預かる、と言ったのは二人を生かすという意味だろう。これはまた、私の口を封じる意味もある。事実、飛行船に乗り込む前に、「地球に帰ったら、緑の惑星にはわずかな植物はあったが動物の類は見られなかったと話すんだ。それでも、卑しい地球人は、新しい不動産や牧場を獲得する欲望をたぎらせて、大船団を組んでこの星に乗り込んで来るだろう。そのとき、お前と二人の飛行士は水先案内人として選ばれ、再びここに立つことになろう。そうなれば、秘かに本物のアイザック、リチャードをニセモノと入れ替えて、地球に帰してやろう。そこで、ニセモノの飛行士は情報収集の任務を完了した後で、元の姿に戻ってもらう。」と言った。
あれから数時間が経過した。飛行船は、光速で太陽系を目指している。私と二人の緑惑星人との間には、少しずつ日常会話が保たれていた。彼らは、喜怒哀楽に乏しいが、本物と外見も声も知識の内容もそっくりなので、一緒に居るうちに次第に違和感は薄まり、地球に着く頃には、あの事件は夢であったかのような感覚に支配され始めていた。
サボテンの怪物に襲われた直後の記憶が甦ってきた。二人の飛行士、アイザックとリチャードの全身に奴らの無数の白い根が突き刺さり、そこから遺伝子や記憶といった情報を取得していたようだ。そのときは、頭も体も穴だらけだったはずだが、根が抜かれた後は元どおりで、どこにも傷一つなかった。その後、地球に出発する私を見送るときも、元気は無かったが、身体に損傷はないようだった。
現場にいた奴らのボスが、緑惑星人が地球に行ってから無事に帰るまでの『人質』として、二人の地球人を預かる、と言ったのは二人を生かすという意味だろう。これはまた、私の口を封じる意味もある。事実、飛行船に乗り込む前に、「地球に帰ったら、緑の惑星にはわずかな植物はあったが動物の類は見られなかったと話すんだ。それでも、卑しい地球人は、新しい不動産や牧場を獲得する欲望をたぎらせて、大船団を組んでこの星に乗り込んで来るだろう。そのとき、お前と二人の飛行士は水先案内人として選ばれ、再びここに立つことになろう。そうなれば、秘かに本物のアイザック、リチャードをニセモノと入れ替えて、地球に帰してやろう。そこで、ニセモノの飛行士は情報収集の任務を完了した後で、元の姿に戻ってもらう。」と言った。
あれから数時間が経過した。飛行船は、光速で太陽系を目指している。私と二人の緑惑星人との間には、少しずつ日常会話が保たれていた。彼らは、喜怒哀楽に乏しいが、本物と外見も声も知識の内容もそっくりなので、一緒に居るうちに次第に違和感は薄まり、地球に着く頃には、あの事件は夢であったかのような感覚に支配され始めていた。
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