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航宙機動部隊第三章・43

[469]  まっかつ  2007-08-08投稿
しかし、それが本当に彼の実像なのだろうか?
身内にも告げられ無かった寝返りは、家族全員の虐殺と言う最悪の副産物を結果として伴う物になった。
消極的にとは言え、両親と妻と二人の子供すらをも、彼は犠牲にしていたのだ。
だが、不思議な事に、やろうと思えば幾らでも出来る権限と立場があったにも関わらず、クレオン=パーセフォンは下手人達へ復讐はしなかった。
それ所か公的にも私的にも今だこの件に関しては口をつぐんだままだ。
クレオンは一体何を目指して末代まで残る汚名を自ら甘受したのだろうか?
彼をして最外縁史上最悪の売国奴・変節漢へと変貌さしたのは時代の流れか?
祖国への愛か?
それ共恨みか?
帝国への期待か?
或いは、彼の帰参を赦しそれまでの苦戦の責を取って自殺した先代ムスタファ=ガルガン=パシャの空席を望み通りに与えた皇帝エタンと同じ何かを見たのか?
彼もまた謎と矛盾と不条理に満ちた一人の人間だったのだ―\r

その目的なり理想なりは今だ語られる筈もなく、この場のスタッフ達だってそんなややこしい代物等、正直知りたくも無かっただろう。
彼等が求めるのは、飽くまでも優秀な上官でありリーダーだ。
思想家ではない。
その点、クレオン=パーセフォンはその期待に一二分に応え、幕僚部を完全に手足とするまでにそう時間は必要としなかった。
元々は敵地だ。
しかも、先代左総長を作戦で凌駕し、自殺に追い込んだ本人がその後釜として乗り込んで行くのだから、生きて出られる保証は無かった。
だが、現金な物で、実力と実績を示した途端、部下達は掌を返したのだ―こちら側へと。
これが統合宇宙軍か―クレオンは苦笑を禁じえなかった。
成程強くなれる分けだ。
銀河広しと言え共、ここまで正直な組織もそう無いだろう―\r

回想に浸るのを打ち切って、左総長は今度は思考を前方やや斜め上へと向けながら、デスクの上で知らず組んでいた両手を更に強く握る。
(失敗したら必ず死ぬ。否、死なせて貰えると言うべきか?新しいタイプの国家・新しい世界を創る為、現行の文明全体へのそれが反逆だとしたら、速やかな死で済むのなら、まだしも宇宙の大法は慈悲に満ちていると感謝すべきなのだろうな)

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