君だけを(10)
あれから井上が来ない。
教室にも、もちろん美術室にも…。
(調子悪いのか？)
毎回必ず休憩時間に見に行くけど、アイツの姿はない。
電話したいけど、番号知らないじゃん。
思えば私、アイツの事知らないんだ。
アイツが絵を描く事以外なんにも。
今も美術室へ行って来たけど、やっぱりそこに井上はいなくて、引き返した。
自分の椅子に座って、サヤやら他の子と何気ない話をしてるとこだった。
ケンちゃんが教室に入って来て、教壇に立つ。
｢みんな、静かに聞いて欲しい｣
騒ついていた教室が静かになった。
(何だろう…)
ただならぬ空気に、嫌な予感がする。
｢さきほど、井上の親御さんから電話があった。
井上が、
亡くなったそうだ｣
教室にも、もちろん美術室にも…。
(調子悪いのか？)
毎回必ず休憩時間に見に行くけど、アイツの姿はない。
電話したいけど、番号知らないじゃん。
思えば私、アイツの事知らないんだ。
アイツが絵を描く事以外なんにも。
今も美術室へ行って来たけど、やっぱりそこに井上はいなくて、引き返した。
自分の椅子に座って、サヤやら他の子と何気ない話をしてるとこだった。
ケンちゃんが教室に入って来て、教壇に立つ。
｢みんな、静かに聞いて欲しい｣
騒ついていた教室が静かになった。
(何だろう…)
ただならぬ空気に、嫌な予感がする。
｢さきほど、井上の親御さんから電話があった。
井上が、
亡くなったそうだ｣
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