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鶯色の街

[167]  皐月花  2007-08-10投稿
私の生まれた街は、日本に古くからある街で、晴れた日には山の緑と空の蒼、そして川の煌めきが眩しい。私はこの街の景色とたおやかな時間の流れに育てられた。

中学、高校、大学と煉瓦造りの歴史ある校舎に学び、自由な校風は私の心のひだを豊かにそして敏感に育てた。
そんな私が就職を気に大都会へと通うようになった。空気は煙り、川は濁り、空は狭い。人も忙しく流れている。慣れない私には息が詰まりそうな日々が続いたが、都会は静かに私を浸食し、いつしか狭い空にも慣れた。

都会へ通うようになって2年ほどたったころだろうか、上司が人を集めてある商業ビルのオーナーの誕生日祝いをすることになった。友人を連れてこいとのことだったので、中学以来の友人を連れて行った。

会場には芸能人や競馬の騎手、アナウンサーなど華やかな面々。私は少し気後れしながらも、会を楽しもうとテーブルに座り周りの雰囲気を観察していた。

「林さんの会社の方だそうですね」

斜め前に座った男性から話しかけられた。広い肩幅に顎ひげ。クマのようだと思った。

「はい。いつも遊んでもらっています」

男性が差し出した名刺には私の街の新聞社の名前が書いてあった。
出会いはこの程度のやり取りだったように思う。当たり障りのない会話。ただ丁寧な物腰が印象的だったように思う。

男性からは私の街の匂いがした。

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