君だけを(12)
「下手くそだね…言葉が」
けどねアンタ、絵は上手いからわかるんだよ。
痛いほどに伝わってくるんだよ。
手が震える。
「井上…」
苦しかったんでしょ?
なのに私の事、描いてくれたんだ。
ちゃんと見ててくれたんだ…。
井上が私に残してくれた絵。
私はそれらを抱き締めながら…その場で泣き崩れた。
―八年後―\r
私は今、お墓の前で手を合わせている。
「今年から私、美術教師になったよ。さすがに画家は無理だったけど(笑)」
夢がなかった私も、井上に影響されて絵の勉強をしたんだ。
傍らに置いた紙袋から、“MIKOTO INOUE”と書かれたスケッチブックを取り出して触れる。
「あの頃の私、こんな顔してた?」
井上が描いた私の顔。
見たら泣きそうになるけど、アンタの前ではこの笑顔でいたい。
ねぇ、井上―\r
いつかさ、
私が天に召される時が来たら、また…
アンタの絵
私に見せてよ。
それで今度は
アンタの笑った顔が
見たい。
時間かかっても
アンタのとこに行く。
だから
それまでは…
「待ってて…!」
私は背を向け歩き出した。
スケッチブックを握り締めて―\r
END
けどねアンタ、絵は上手いからわかるんだよ。
痛いほどに伝わってくるんだよ。
手が震える。
「井上…」
苦しかったんでしょ?
なのに私の事、描いてくれたんだ。
ちゃんと見ててくれたんだ…。
井上が私に残してくれた絵。
私はそれらを抱き締めながら…その場で泣き崩れた。
―八年後―\r
私は今、お墓の前で手を合わせている。
「今年から私、美術教師になったよ。さすがに画家は無理だったけど(笑)」
夢がなかった私も、井上に影響されて絵の勉強をしたんだ。
傍らに置いた紙袋から、“MIKOTO INOUE”と書かれたスケッチブックを取り出して触れる。
「あの頃の私、こんな顔してた?」
井上が描いた私の顔。
見たら泣きそうになるけど、アンタの前ではこの笑顔でいたい。
ねぇ、井上―\r
いつかさ、
私が天に召される時が来たら、また…
アンタの絵
私に見せてよ。
それで今度は
アンタの笑った顔が
見たい。
時間かかっても
アンタのとこに行く。
だから
それまでは…
「待ってて…!」
私は背を向け歩き出した。
スケッチブックを握り締めて―\r
END
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