『君は｢引力｣を信じるか？人と人との間には｢引力｣があるということを………』
これは『ジョジョの奇妙な冒険』第６部『ストーンオーシャン』の中で、プッチ神父がウンガロに放った一言だ。
この時神父は、麻薬中毒者のｳﾝｶﾞﾛに突きつけられた鋏を、自ら自分の首に刺した。
しかし神父は死ななかった。偶然致命点を外したからだ。
何故『偶然』致命点に刺さらなかったか。それはｳﾝｶﾞﾛ含む３人のＤＩＯの息子達が神父の『引力』に引き寄せられたから。
それは予め『決められいた偶然』。
よく解らないないかもしれないけれど、俺はその『偶然』が本当にあるんだと思う。

あの日は晴れだった。
俺はいつものように、近所の大型書店に行き、立ち読みをしていた。読んでたのは、『ストーンオーシャン』の11巻。
そして俺はそれを読み終え、12巻に手を伸ばした。
そしたら『偶然』手が衝突した。同じタイミングで、同じ本を手に取ろうとした、彼女と。
「あ、スミマセン」
「あ、コチラコソ」
これが彼女との最初の会話。出会いにしてはかなりしょぼい。
そして彼女は隣にあったもう一冊の12巻をそっと優しく引き抜き、会計の方向へ歩いていった。
その時に、彼女の端正な顔立ちと控え目で美麗な声、そして何故かあの神父の台詞が俺の頭の中に強烈にインプットされてしまったのだった。

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