薔薇のように4 〜story of HANA〜
翌日―\r
寝不足でフラフラしながらも出社した華にお声がかかった。呼んだのは直属の上司である南 優子。いかにもキャリアウーマンらしいクールビューティだ。華と並ぶと本当に雑誌の表紙にでもなりそうな画である。
「藍沢さん、この前の会議で話した事覚えてる?うちの会社から新ブランドを出さないか、っていう。」
「覚えてます。」
「あの話、社長から正式にGOサインが出たわ。方向性はすべて私達の部に任せてくれるそうよ。」
「本当ですか?」
眠気が一気にすっとんだ。
華は大学卒業後事務としてこの会社に入社したのだが、何でもそつなくこなせるため社長に気に入られすぐ企画部へ配属された。完全に女社員のみの企画部でターゲットももちろん女性。今まで化粧品やアクセサリーなど女性専用の商品でたくさんのヒットをとばしてきた。そんな中今まであまり手をつけていなかった服の方へも新たに参入したいと企画会議で言っていたのだが、こんなに早く実行するとは思わなかったのだ。
「すごいですね。でもどうしましょう。」
「まだ名の売れていないデザイナーと契約してうちから新ブランドとして出す―。一番簡単だけど大きな賭けだわ。誰か身近にいない?」
「まったく。」
「そうよね。」
優子が軽く嘆息をする。華も長い腕をくみ眉を寄せた。
「やるからには売れないといけない。」
「そういうこと。とりあえず一週間後全員で候補を出しあいましょう。藍沢さん、期待してるわよ。良いのみつけてきてね。」
「はぁ。」
眼鏡の奥でウィンクする上司に曖昧な笑みを返す。
正直言ってまったく自信がなかった。
デザイナーの知り合いなど一人もいないし好きなブランドすら特にはない。あと一週間の間に候補を―。無理に決まってる。
とりあえず傾向を決めるため雑誌などを読みあさったが、特にめぼしい収穫もなく今日は終ってしまった。
新しい仕事に対する不安・焦り、そして寝不足から、体がやけに重い。
地元の駅に着いたのは8時05分。家までは徒歩20分だ。いつもなら迷わず歩くが今日はそういう気分にはなれなかった。タクシー乗り場へ行こうとした時、右側で軽くクラクションが鳴った。反射的にそちらに目をやると、明らかに運転手が華に向かって手をふっている。暗いのと視力が少し弱いため顔が見えない。勧誘ナンパの類だろうと思いながらも一応華は車へと近付いてみた。
徐々に輪郭が見えてくる。
寝不足でフラフラしながらも出社した華にお声がかかった。呼んだのは直属の上司である南 優子。いかにもキャリアウーマンらしいクールビューティだ。華と並ぶと本当に雑誌の表紙にでもなりそうな画である。
「藍沢さん、この前の会議で話した事覚えてる?うちの会社から新ブランドを出さないか、っていう。」
「覚えてます。」
「あの話、社長から正式にGOサインが出たわ。方向性はすべて私達の部に任せてくれるそうよ。」
「本当ですか?」
眠気が一気にすっとんだ。
華は大学卒業後事務としてこの会社に入社したのだが、何でもそつなくこなせるため社長に気に入られすぐ企画部へ配属された。完全に女社員のみの企画部でターゲットももちろん女性。今まで化粧品やアクセサリーなど女性専用の商品でたくさんのヒットをとばしてきた。そんな中今まであまり手をつけていなかった服の方へも新たに参入したいと企画会議で言っていたのだが、こんなに早く実行するとは思わなかったのだ。
「すごいですね。でもどうしましょう。」
「まだ名の売れていないデザイナーと契約してうちから新ブランドとして出す―。一番簡単だけど大きな賭けだわ。誰か身近にいない?」
「まったく。」
「そうよね。」
優子が軽く嘆息をする。華も長い腕をくみ眉を寄せた。
「やるからには売れないといけない。」
「そういうこと。とりあえず一週間後全員で候補を出しあいましょう。藍沢さん、期待してるわよ。良いのみつけてきてね。」
「はぁ。」
眼鏡の奥でウィンクする上司に曖昧な笑みを返す。
正直言ってまったく自信がなかった。
デザイナーの知り合いなど一人もいないし好きなブランドすら特にはない。あと一週間の間に候補を―。無理に決まってる。
とりあえず傾向を決めるため雑誌などを読みあさったが、特にめぼしい収穫もなく今日は終ってしまった。
新しい仕事に対する不安・焦り、そして寝不足から、体がやけに重い。
地元の駅に着いたのは8時05分。家までは徒歩20分だ。いつもなら迷わず歩くが今日はそういう気分にはなれなかった。タクシー乗り場へ行こうとした時、右側で軽くクラクションが鳴った。反射的にそちらに目をやると、明らかに運転手が華に向かって手をふっている。暗いのと視力が少し弱いため顔が見えない。勧誘ナンパの類だろうと思いながらも一応華は車へと近付いてみた。
徐々に輪郭が見えてくる。
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