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〜僕と公園〜つー

[391]  ゆきンこ  2007-08-12投稿
公園がなくなると聞いてから、隆太は頭が痛くなるほど考えた。
市役所から公園を守るにはどうしたらいいんだろう。
人生でこんなに頭を使った事はあるだろうか、と思う程本気で考えた。地道なものでもいい。隆太は面倒臭がりだけれど、この際どんなに面倒でもやりとげてみせる。そう固く決意をする程、公園が好きだった。
「あなた、隆太が考え事をしてるみたい」
「ほう、珍しいな。好きな女の子でもできたんじゃないか?年頃だしな」
そう言って笑う父と母の声が聞こえた。
そんな、ありきたりな悩み事じゃないッ! ここじゃ、何も考えられない。公園に行こう。
大人の馬鹿な戯言を聞きながら考えられるような安っぽい悩みじゃないのだ。隆太にとって人生で最大の山場なのだ。
「出かけてくる」
「えっ、隆太、いまはもう9時よ。用事があるのなら明日にしなさい。ちょっと、隆太っ」
母の声を無視して家を出る。なんだか解放されたようで気持ち良かった。
公園には徒歩3分で行ける。走ったら1分。
さすがに公園には誰もいなかった。小さな公園だから、ホームレスも寄ってこない。
「ピクナー、いるんでしょ?出てきてよ」
 木々の葉がざわっと動いた。
『隆太ぁ、俺は寝てんだぞ。起こすなってーの』
「ご、ごめん。妖精って寝るんだ……」
『当ったり前だろ。体もたねぇよ、もう。で、何か用事なワケ?』
「公園を守るための案を考えてよ」
『なんで俺が考えなきゃいけないんだ。公園を守りたいのは隆太だろ。俺じゃない』
「も〜冷たいッ!協力してよ〜」
『俺は今寝たいのっ!頭休めたいのっ!反対の事してどーすんのっ!ま、この公園がなくなってもさ、隆太だって違う公園に散歩に行けばいいじゃない?』
隆太の顔が強張るのが暗闇の中でも見えた。
「この公園は大切なんだ。僕は10年間も通ったんだ。それでも、それでも君は公園を変えろと言うの?」
隆太の目から透明の玉が流れ落ちる。しかし、一粒だけで一瞬の内だった。
「出来るわけないだろ、馬鹿っ」
隆太は叫ぶと公園から走って出て行った。その背中をピクナーは黙って見ていた。

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