ヤス#125
ヤス#125
ヤスは仕込みを終えると板場に入った。店はのれんを出したばかりだ。
客はカウンターの中央に一人いるだけだった。一見してカタギでは無さそうな五十代半ばの男性だった。ただ、大将の香月と親しそうに話している。その男性がヤスを見据えた。また、何やら大将と話している。ヤスは会釈だけして包丁を研いだ。
｢ヤス。ちょっと来い｣｢はい…大将。…何か？｣
｢お前、先日、泰子さんと中洲に行ったか？｣
｢はい…行きましたが…｣
｢男に絡まれなかったか？｣
｢あ、いえ…そんな事は…｣
｢隠さなくていいぞ。この方は博竜会の親分さんで、俺の古くからの友人だ。どうやら、お前、この竹内さんに一部始終を見られていた様だぞ。ハハハ｣
｢博竜会…あっ！あの人、本当に組の人だったんですか？あちゃあ…どうも、申し訳ありません。俺…どうしたらいいのですか？｣
｢ヤスと言うんだな｣
｢はい。平井です。平井康生です｣
｢どうもこうもない。悪いのは、あの馬鹿野郎だ。気にするな。それにしても、見事だったな。アイツは組でも喧嘩っ早いらしい。若造にしてやられたと悔しがっていたぞ。詫びを入れさせるから組に来なさい｣
ヤスは仕込みを終えると板場に入った。店はのれんを出したばかりだ。
客はカウンターの中央に一人いるだけだった。一見してカタギでは無さそうな五十代半ばの男性だった。ただ、大将の香月と親しそうに話している。その男性がヤスを見据えた。また、何やら大将と話している。ヤスは会釈だけして包丁を研いだ。
｢ヤス。ちょっと来い｣｢はい…大将。…何か？｣
｢お前、先日、泰子さんと中洲に行ったか？｣
｢はい…行きましたが…｣
｢男に絡まれなかったか？｣
｢あ、いえ…そんな事は…｣
｢隠さなくていいぞ。この方は博竜会の親分さんで、俺の古くからの友人だ。どうやら、お前、この竹内さんに一部始終を見られていた様だぞ。ハハハ｣
｢博竜会…あっ！あの人、本当に組の人だったんですか？あちゃあ…どうも、申し訳ありません。俺…どうしたらいいのですか？｣
｢ヤスと言うんだな｣
｢はい。平井です。平井康生です｣
｢どうもこうもない。悪いのは、あの馬鹿野郎だ。気にするな。それにしても、見事だったな。アイツは組でも喧嘩っ早いらしい。若造にしてやられたと悔しがっていたぞ。詫びを入れさせるから組に来なさい｣
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