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ラフ・メイカー 〜ある男の最後

[373]  胡麻  2007-08-13投稿
男と俺は未だに沈黙が続いている。

もう一度ノックをしてみる…

『お前まだいたのか!?消えてくれって言ってんだろ!!』

男のこの言葉がやけに俺を悲しくさせた。

『……そんな事を言われたのは生まれて初めてだ…。あぁ、どうしよう、悲しすぎて泣きそうだ。』

俺は何故か流れ出す涙を抑えながら男に言った。

慌てた男は、

『ラフ・メイカー!?冗談じゃない!アンタが泣いてちゃ仕様がない。泣きたいのはこっちの方だ!』

ドアの側で座り込む二人。泣いている理由は違うが、泣いていることには変わりない。

時間が過ぎていく……
膝をかかえている二人の泣き声は、すっかり疲れ果てている。

男が静かに言った。

『おい、今でも俺を笑わせるつもりか、ラフ・メイカー?』

『……それだけが生き甲斐なんだ。笑わせないと帰れない。』

こうなったら、強制的に行くしかないな、鉄パイプを手にとる。

裏口なら……
覚悟を決める。

俺は小さな鏡を持って窓ガラスを割る。

驚きながらコッチを見る男。

泣き合っている男二人が同じ部屋にいる……。

泣き続けている男を笑わせないと……

『お前の泣き顔笑えるぞ』
鏡を男に見せてみる。

簡単な方法だが、男は静かに笑った……。

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