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〜僕と公園〜すりーの前に

[369]  ゆきンこ  2007-08-13投稿
 ピクナーは公園の木の枝の上に寝そべっていた。
 ちょい言い過ぎたかな。
 隆太の強張った顔を思い出す。
 どうしてあの時あんな辛い事を言ってしまったのだろう。どうして一緒に考えてやらなかったんだろう。隆太は大切な人なのに。
あんな顔を見たのは初めてだった。今までたとえ驚いた時でもいつも穏やかな顔しかしなかった。7年間見てきたというのに……。
 俺は何にも分かってないじゃないか。
 隆太が初めてピクナーを見ても見ぬ振りをしなかった人だった。今までも妖精が見える人間に会った事はあるけど、皆に無視をされた。喋り返したら、他の人に不審に思われるから。
 セケンテーが悪いってやつかな。
 ピクナーがフンと笑う。
 やがてその人たちは公園に来なくなった。
 だけど 隆太は世間体を気にしなかった。公園に来る度に喋ってくれた。ピクナーが風邪を引いて喋り掛けられない時は木々の中を探し回ってくれてた。しかもピクナー、ピクナーって叫んでいた。他の人から変な目で見られてるのも知っている。
 だからピクナーは隆太が好きだった。隆太がいる事で自分の存在が確かめられた。なにより隆太が自分を好いてる事が嬉しかった。
 そして7年間も一緒に過ごしてた。当然自分は隆太の何もかもを知っていると思っていた。
 知っている、知っている。いや、何も知らないじゃないか。俺が知っているのは表の顔だけだ。
 隆太の裏の顔。どんな風なのだろう。憎悪がのたうち回っているのだろうか。欲望が這いずり回っているのだろうか。
 本当の姿を直視するのは怖い。でも、擬い物(まがいもの)の姿ばかりも見ていられない。
 明日、隆太は来てくれるだろうか。
 空には大丈夫さ、と言うように星が輝いていた。

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