携帯小説!(PC版)

お寺

[338]  こも  2007-08-15投稿
お盆は近くのお寺に家族でお参りに行く。けど今年は自分だけ行かなかった。お寺はあいつの家のむかえだから。ちょうど部屋からお寺は丸見えだし。せっかく忘れようとしてるのにあそこに行ったりしたらまた思いだしちゃう。だから行かなかった。悲しくなるのがいやで、行けなかった。御先祖様、だめな子孫でごめんなさいね。
半年前、あいつの部屋の窓から私はお寺を眺めてた。まだまだ寒い冬だった。ただのお寺だけど、ベッドの中から手を伸ばして横のカーテンを少し開けると見えるその風景が好きだった。この場所からみるこの景色は私だけのものっていう感じがして。横で寝てるあいつの寝顔とお寺。変な組み合わせ。だけどなんか愛おしくて、1人で眺めてはにんまりしてた。

今の家に引っ越してくるずっと前からこのお寺に来ていたっけ。小さい頃お寺に来て暇になると、むかえの家の犬を見て遊んでたな。まさかその家がここだなんて。その犬の飼い主があいつだったなんて。10年たって、この部屋からお寺を眺めることになるなんて思いもしなかった。好きになるずっと前からここに来てたなんて…運命かな。
なんてこと考えながら眺めてた。笑われそうで、あいつには言わなかったけどね。嬉しかったんだよ。

でも運命なんかじゃなかった。もうあの部屋からお寺を眺めることはない。だからお寺には行かないの。行けないの。





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