オリーブ〜第三章〜
…タンタターンタタタタッタターン♪
(…うっさいなぁ。早く起きろよー寝ぼすけ。)
まだ眠たい眼は決まって、このセンスのかけらもない彼の着メロによって半ば無理矢理開けられる。
私は甲本ミキ。教育学科の大学2年。そんで隣で枕抱いて気持ち良さそうに眠ってるコイツは彼氏のヒナタ。
彼とは大学の入学式で知り合った。今でも鮮明に覚えている初対面。青森からお上りさんの私は、東京の大学という尖った空間と騒がしい人々の静けさに少しばかり緊張を隠せずにいた。
係の人に誘導され、体育館いっぱいに並べられた少し冷たいパイプ椅子に腰掛けたその時だった。
「どーもっ。学科どこですか?」
右隣に座っているそいつは、金髪に近い茶髪で左耳に2つのピアス、そして甘ったるい香りのする安っぽいスーツ姿のホストみたいな男だった。
「…教育ですけど。」
「マジ?!同じじゃん!ヨロシクね。俺、松永ヒナタです。」
「そーなんだ。甲本です、よろしく。」
はっきり言ってチャラいのが嫌いな私は軽くあしらった。その後はろくに会話も弾まず式が始まり、学長がダラダラと挨拶をはじめる。前日あまり寝れなかった私は緊張も少し緩み、学長のつまらない学業の精神論を右から左に流していた。
(…ふぁっ。眠っ。早く終わんないかなぁ。)
すると隣のホスト男が、
「…ふぁ〜あ。」
とても大きなあくびをした。不意に目が合う。
「俺、昨日全然眠れなかったんだよねー(笑)」
「…ははっ(笑)私もだよー。」
「俺、福島人なんだけど、こっち全然友達いなくってさぁ。東京初めてだし緊張しちゃって。」
最初が悪印象だったからだろうか。緊張しながらも無理して声をかけてくれた事実とそのほんの少しの共通点、よく聞けば訛っている彼の無邪気な笑い声に、私は次第と心を開いていった。
「そーなんだぁ、私も仲間だし(笑)田舎もん同士ヨロシクねー、ヒナタ君。」
「おっ!良かった、てか友達第一号(笑)」
式が終わり、帰路の途中も話は尽きなかった。
地元の話。好きな音楽の話。一人暮らしへの不安。サークルは何にしようかとかどーでもいいこと。でもそのどれもがとても楽しくて、心地いい。
そしてそんな彼を好きになるのにそう時間はかからなかった。
(…うっさいなぁ。早く起きろよー寝ぼすけ。)
まだ眠たい眼は決まって、このセンスのかけらもない彼の着メロによって半ば無理矢理開けられる。
私は甲本ミキ。教育学科の大学2年。そんで隣で枕抱いて気持ち良さそうに眠ってるコイツは彼氏のヒナタ。
彼とは大学の入学式で知り合った。今でも鮮明に覚えている初対面。青森からお上りさんの私は、東京の大学という尖った空間と騒がしい人々の静けさに少しばかり緊張を隠せずにいた。
係の人に誘導され、体育館いっぱいに並べられた少し冷たいパイプ椅子に腰掛けたその時だった。
「どーもっ。学科どこですか?」
右隣に座っているそいつは、金髪に近い茶髪で左耳に2つのピアス、そして甘ったるい香りのする安っぽいスーツ姿のホストみたいな男だった。
「…教育ですけど。」
「マジ?!同じじゃん!ヨロシクね。俺、松永ヒナタです。」
「そーなんだ。甲本です、よろしく。」
はっきり言ってチャラいのが嫌いな私は軽くあしらった。その後はろくに会話も弾まず式が始まり、学長がダラダラと挨拶をはじめる。前日あまり寝れなかった私は緊張も少し緩み、学長のつまらない学業の精神論を右から左に流していた。
(…ふぁっ。眠っ。早く終わんないかなぁ。)
すると隣のホスト男が、
「…ふぁ〜あ。」
とても大きなあくびをした。不意に目が合う。
「俺、昨日全然眠れなかったんだよねー(笑)」
「…ははっ(笑)私もだよー。」
「俺、福島人なんだけど、こっち全然友達いなくってさぁ。東京初めてだし緊張しちゃって。」
最初が悪印象だったからだろうか。緊張しながらも無理して声をかけてくれた事実とそのほんの少しの共通点、よく聞けば訛っている彼の無邪気な笑い声に、私は次第と心を開いていった。
「そーなんだぁ、私も仲間だし(笑)田舎もん同士ヨロシクねー、ヒナタ君。」
「おっ!良かった、てか友達第一号(笑)」
式が終わり、帰路の途中も話は尽きなかった。
地元の話。好きな音楽の話。一人暮らしへの不安。サークルは何にしようかとかどーでもいいこと。でもそのどれもがとても楽しくて、心地いい。
そしてそんな彼を好きになるのにそう時間はかからなかった。
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