繋がれた手の温もり?
次の日の朝。
開店準備の一貫で店内の掃除をしていると、いつも通り開け放したガラス戸の向こうから
「久しぶりだね」
と、声がした。
棚に向かったまま顔だけ右を向くと、『花屋の葵ちゃん』の、変わらない笑顔が朝日を背に浴びて輝く。
白い膝丈のワンピースに身を包んだ彼女を見て、僕は内心意外だな、と思った。
「なによ、ボケッとして」
笑う彼女が、口を開けたままのマヌケ面をからかう。
「…いや、もっと派手になってるかと思ってたからさ」
「悪かったわね、地味で!」
そう言って笑い合う僕らの関係も、何も変わっていなかった。
「あら、葵ちゃん!帰って来たの!?」
いそいそと出て来た母親が、葵ちゃんが持ってきた東京土産を受け取りながら、変わらないわねと話し掛ける。
本当に驚くほど、彼女は変わっていなかった。
都会に行った人はみな派手になるものだと思う僕が、田舎者すぎるのかもしれないけど。
「日向、アンタ葵ちゃんと会うの久しぶりでしょ?店はいいから、今日は父さんに任せて遊んでらっしゃい」
悪戯っぼく笑って、母は僕を押し出した。
遊ぶって…子どもじゃあるまいし。
眉間にシワをよせた僕に、彼女がじゃあ行こっか、と笑いかける。
彼女が変わったとしたら、昔から評判の笑顔が、輪をかけて魅力的になったくらいかな…と、頭の端で思って、何故か恥ずかしくなった。
「ここは変わらないね」
「相変わらず何もない、だろ?」
「そういう意味じゃないってば」
他愛ない話をしながら、足は自然に慣れた道を辿る。
2人で決まって遊んでいた、沢山の黄色が眩しいあの場所へ。
開店準備の一貫で店内の掃除をしていると、いつも通り開け放したガラス戸の向こうから
「久しぶりだね」
と、声がした。
棚に向かったまま顔だけ右を向くと、『花屋の葵ちゃん』の、変わらない笑顔が朝日を背に浴びて輝く。
白い膝丈のワンピースに身を包んだ彼女を見て、僕は内心意外だな、と思った。
「なによ、ボケッとして」
笑う彼女が、口を開けたままのマヌケ面をからかう。
「…いや、もっと派手になってるかと思ってたからさ」
「悪かったわね、地味で!」
そう言って笑い合う僕らの関係も、何も変わっていなかった。
「あら、葵ちゃん!帰って来たの!?」
いそいそと出て来た母親が、葵ちゃんが持ってきた東京土産を受け取りながら、変わらないわねと話し掛ける。
本当に驚くほど、彼女は変わっていなかった。
都会に行った人はみな派手になるものだと思う僕が、田舎者すぎるのかもしれないけど。
「日向、アンタ葵ちゃんと会うの久しぶりでしょ?店はいいから、今日は父さんに任せて遊んでらっしゃい」
悪戯っぼく笑って、母は僕を押し出した。
遊ぶって…子どもじゃあるまいし。
眉間にシワをよせた僕に、彼女がじゃあ行こっか、と笑いかける。
彼女が変わったとしたら、昔から評判の笑顔が、輪をかけて魅力的になったくらいかな…と、頭の端で思って、何故か恥ずかしくなった。
「ここは変わらないね」
「相変わらず何もない、だろ?」
「そういう意味じゃないってば」
他愛ない話をしながら、足は自然に慣れた道を辿る。
2人で決まって遊んでいた、沢山の黄色が眩しいあの場所へ。
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