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雨に唄えば

[660]  大柿文吾  2005-10-10投稿
雨は嫌いだ―。



あ〜……、てか湿気が嫌い。
俺、くせっ毛だから。
湿気があると、俺の言うことを聞かないんだ、こいつは。
だから湿気は嫌い。
でも、雨は好きかも。
なんか、この雰囲気がいい。
何となくこの気持ちわかるかなぁ?
多分共感する人はいると思う。

で、今日も雨模様の空を教室の窓から見上げる。
ちょっちセンチメンタル。
この感覚、好き。
ちょっと、自分に溺れてんのかも。

「なぁに黄昏れてんだ、少年。」
そんなしんみりモードを打ち破る、ノー天気な声。
「別に、黄昏れてるつもりはないんですけど。」
俺はくるりと空に背を向けて、窓によりかかる。
となりに来た女の子も、同じ姿勢をとる。
この娘を物に例えるなら、マメ。
ぽいから。
だって身長は俺の肩ぐらいしかない。
「ねぇ、いつもここから何見てるの?」
マメが言う。
「ただ外を眺めてるだけだよ?」
俺が答える。
その答えを聞いて、マメが膨れる。
「それを黄昏れるって言うの。」
「じゃぁ、そういうことでいいよ。」
またマメが膨れる。
こんなマメが見たくて、俺はマメを俺のペースに巻き込むんだ。

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