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雨に唄えば 2

[704]  大柿文吾  2005-10-10投稿
「でもまさか雨が降るなんてなぁ……。」
マメが外を眺める。
シトシトって言葉が似合う雨に、止む気配はない。
「天気予報、見てこなかったの?」
俺も外を眺める。
「うん。だから傘も持ってきてないんだぁ。」
「それは御愁傷様。」
マメがこっちを見る。
そのクリッとした目に、少しドキっとする。
「少年は、傘もってきた?」
「持ってきてたら?」
俺は少し恥ずかしくなって、目線を外した。
それでもマメは目線を合わせようとして、俺の前にやってくる。
「相合い傘、しよ。」
「ばーか。」
俺は一寸も間を空けず、答えた。
今度は目線が合わないように、体を窓の外に向けて。
「いいじゃん、方向同じだし、ね?」
マメがとなりでピョコピョコする。
「そういう問題じゃない。」
俺はドキマギしながら答えた。
男にとって、相合い傘とか恥ずかしくて、普通は出来るもんじゃない。
それをマメは……。
「あ、わかった。恥ずかしいんだ。」
その言葉にドキッとする。
「少年、純情だねぇ〜。」
マメが可笑しそうに笑う。
「ばっ、んなんじゃ!」
必死に言い訳する俺を、マメは楽しそうに笑う。
その笑顔が、愛らしい。

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