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処刑生徒会長第二話・12

[842]  まっかつ  2007-08-27投稿
全校を挙げてのイベントの最中に、港リリア程の要職が自宅でのんびりくつろいでいる自体、おかしい。

だが―\r

『ああ、本当は今日の午後から開催なんですけど、終業式で通達があって2日間延期するって…何でも体育館の老朽化が予想以上で、補修だの改装だのが入るから一般生は下校したら速やかに返れと…実質閉鎖ですよね』

それを聞いて、九重モエは焦り出した。

《えっ?そうだったの!?じゃあ梅城会長は今どこに!?》

『もう帰られましたが、補修の様子を見に、立ち寄るかも知れないとか言ってましたね。私達には連絡あるまで自宅待機が命ぜられたんですけど、ただの工事ですし、多分呼び出しはないだろうとおっしゃってました』

閉鎖された学園祭―\r

そしてそこに向かうかつての凶悪集団―\r

まるでそれを見透かしたかの様に、突如として延期命令を出した梅城会長―\r

そして、最高幹部にすら断片的にしか知らせない徹底した情報統制―\r

何度かけても通じない梅城ケンヤの番号―\r

これはおかしい―何かが起きている―\r

港リリアの話しを聞いて、九重モエの直感はとてつもない不吉な出来事を感知し始めていた。

処刑や粛清とは比較にならない、おぞましい何かを。

『あの、もしもし?』

洗面所から部屋のベットに戻るまで、ずっと黙りこんだ相手の様子を心配して、港リリアは呼び掛けた。

《リリアさん―これは貴校の機密に関わる事になるでしょうが、その工事に風紀委員会はタッチしていますか?》

『警備要員なら配置されてます。他に必要ならばスクランブル出来る班もいるにはいますが』

『いかがなさいますか会長?』

タクシーの中で考え込む九重モエに、隣から霧島が尋ねた。

《分かりました。とにかく会長にお伝え下さい―私は引き続き連中の後を追います》

『念のため、本校にも警戒を呼び掛けます。私も今から様子を見に行きますわ』

港リリアもようやく事態の深刻さを悟ったみたいだった。

ここでいったん通話を打ち切ると―\r

『いや参ったなこれは』

タクシーの運転手は動こうとしない周りの車列と街道の電光掲示を眺めながらぼやき始めた。

『2キロ先で巻き込み事故かあ、お客さん、この様子だと後40分はかかるね。いつもなら15分そこらしかかからないんだがなあ』

渋滞に巻き込まれたのだ。

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