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猫情

[185]  空席  2007-08-28投稿
今日も2丁目の角を曲がる。
見慣れたクリーニング店、その隣には魚屋。
私が前を通るたびに魚屋の主人は警戒した顔になる。何も猫だからといって、魚が好物な訳では無い。
また角を曲がる。
高級住宅街に出た。
「猫ちゃん!」
前の婦人が手を伸ばして触ってくる。
やめてくれ…その汚い手で私に触らないでくれ…
私は知っている。
この婦人が万引き常習犯だという事を…
婦人をさっと避け、また散歩を続ける。
「にゃんちゃん」
次は井戸端会議中のおばさんだ。
やめてくれ…その汚い声で私を呼ばないでくれ…
私は知っている。このおばさんが友人ですら悪い噂で汚してしまう事を…
私は気高い猫だ。人間など大嫌いだ。

終わりというものは、私にも突然やってくる。
バイクにはねられたのだ。ほら…やっぱり人間だ……一人の少年が寄ってくる。私は知っている。この少年が毎日父親に殴られている事を…
毎日母親に嘘の笑顔を見せている事を…
「大丈夫?だいじょうぶぅ…」
助からないのが分かるのだろう。泣き始めた…
やめてくれ…その綺麗な涙で私を濡らさないでくれ…私は…私は気高い猫…
人間は…そこまで悪くない…

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