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ロストメロディ

[466]  あいじ  2007-08-31投稿

「あれが…戦使と天使の戦い…?」
彩羽とルシフェルの激突を目の当たりにした刹那が思わず声を漏らす。隣にいる明日奈と天見老人も黙りこんでいる。
「彩羽の奴…本当に大丈夫なのか?」
「師匠は負けません…あの人は無敵の人ですから」
天見の言葉に明日奈が反論する。よっぽど師である彩羽を信頼しているのか、声が落ち着いている。戦いは激しさを増す。
彩羽のギルガメシュが火を吹き、ルシフェルの体が大きく羽ばたき飛翔する。
刹那はその戦いを目の前に奇妙な感覚を覚え始めていた。
胸が焼き切れるような、嫌な悪寒が体中を走りまわる。
「どうした?」
刹那の険しい表情に心配を覚えたのか天見が話しかける。
「ああ…大…丈夫。ちょっと気分が悪いだけだから」
「なら…いいが…明日奈ちゃん、そろそろ逃げ出した方がいいじゃないかね」
明日奈はふと我に返ったように刹那の手を引いて進んだ。
「な〜んだ…そこにいたのか…」
ルシフェルは彩羽の肩ごしに移動している三人を見つけた。弓を張ると矢をゆっくりと刹那の方へ合わせ始めた。
「やめろルシフェル!」
「別にいいじゃないか、止めるなよ。俺はこう見えても人間には優しいんだ。ちゃんと居なくなってもいいような奴を選んでるんだから」
ルシフェルの手が矢から離れる。放たれた矢は風を切るように刹那に向かって飛んでいった。
「えっ……」
刹那が矢を確認した時には既に矢は刹那の胸に突き刺さった後だった。
刹那は意識がゆっくりと落ちていった


一瞬の痛みと深く暗い闇のあと…
刹那は何もない真っ白な空間に一人で立ち尽くしていた。
「俺は…?ああそうか…死んだのか」
刹那は胸の辺りを確かめる。僅かな痛みが残っていた。
(キミは死んでないよ)
「誰だ?」
不意に言葉が聞こえる。刹那が前を見ると少女が立っていた。
(キミが望むなら力をあげる)
「俺は…」
(どうする?)
「まだ生きていたい」
少女が笑うのが見えた。


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