夢現綜軌帳相樂闘劇 弍
肆之佐は立ち上がり、辺りを見回す。
此処に居るという事は、何処かから此処まで来たという事だ。
ならば、その何処かへ帰らなければ。
さて何処から来たのだろう。覚えていない。
しかし、別に思いだそうとも思わなかった。
肆之佐は、帰る事にした。
鞘に手を当て刀があることを確認し、歩きはじめた。
━━━━━━━━。
「不還者なんて最近じゃ珍しいわね。」
声の主は肆之佐の後ろに立っていた。
小柄な容姿に紫の長い髮、染み付く様な紅い瞳。
光を絡めて離さない白い衣を纏っていた。
「‥‥‥私は、導く者。
貴方は‥人間ね?」
「‥‥‥?」
肆之佐には意味が解らなかった。
取敢ず、人間かどうか問われた事は解る。言葉の意味も理解出来ている。
しかし、そんな当然な事を問うてくる意味が解らなかった。
肆之佐は人間だ。何処をどう見ようが、人間にしか見えない。
肆之佐が考えるのを暫く黙して見ていた少女は、一点を指差し、こう言った。
「貴方が向う可き方向はあっち。」
少女が指差す方向には道があった。
ギリギリ径[ミチ]か?といったところか。獣道に近い。
しかし、さっきからあっただろうか?
━続く━
此処に居るという事は、何処かから此処まで来たという事だ。
ならば、その何処かへ帰らなければ。
さて何処から来たのだろう。覚えていない。
しかし、別に思いだそうとも思わなかった。
肆之佐は、帰る事にした。
鞘に手を当て刀があることを確認し、歩きはじめた。
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「不還者なんて最近じゃ珍しいわね。」
声の主は肆之佐の後ろに立っていた。
小柄な容姿に紫の長い髮、染み付く様な紅い瞳。
光を絡めて離さない白い衣を纏っていた。
「‥‥‥私は、導く者。
貴方は‥人間ね?」
「‥‥‥?」
肆之佐には意味が解らなかった。
取敢ず、人間かどうか問われた事は解る。言葉の意味も理解出来ている。
しかし、そんな当然な事を問うてくる意味が解らなかった。
肆之佐は人間だ。何処をどう見ようが、人間にしか見えない。
肆之佐が考えるのを暫く黙して見ていた少女は、一点を指差し、こう言った。
「貴方が向う可き方向はあっち。」
少女が指差す方向には道があった。
ギリギリ径[ミチ]か?といったところか。獣道に近い。
しかし、さっきからあっただろうか?
━続く━
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