夏の風 〜二人のキッカケ〜
『ねぇ…ナミリ。人は
いつか、天国へ行くんだね…。』
8月27日−。
地元の祭りを心待ちに
していたナミリは、
動きにくい浴衣で
加恵との待ち合わせ場所に
急いでいた。
待ち合わせ場所の狭い公園。
そこに加恵はもういた。
それに気付いたナミリは、
加恵の元へ走っていった。
「加恵〜!
ごめんー!………わぁっ!!」
慣れないゲタでつまづき
そのまま加恵にもたれかかった。
「あぁ〜っ………」
加恵は大きな声で
いきなり笑い出した。
「何で笑うのよぉ〜」
それでも何だか嬉しかった。
加恵といる時間は、
いつもナミリは笑っていた。
祭りの会場に近づくにつれ
すごくワクワクしていた。
−お腹がいっぱいだった。
祭りは見ているだけで、
どれも食べたくなってくる。
でも、せっかくだから。
たくさん買って、たくさん歩いた。
二人はリンゴ飴を持ちながら
座る場所を探していた。
「あっ!加恵、ココ空いてる〜」
「もうすぐ花火だしね」
そして一発目の花火が上がった。
「おーっ!」という歓声。
けどナミリは少し、女二人で
花火を見ている事が
悲しくなった。
『来年こそは………』
心の中でそう思った。
花火が終わり、客は
だいぶと減っていった。
それでもナミリと加恵は
最後まで残りたくて、
行ったり着たりを繰り返していた。
ピロリロリン。
加恵のケータイが鳴った。
すると、加恵が
「ナミリ!お化け屋敷いこっ!
拓未がタダで入れてくれるって!!」
拓未?
知らない人だけど、
お化け屋敷に胸が高まり
二人は急いで走っていった。
「拓未、お化けやってるから」
それだけ聞いて入っていった。
「拓未どこかなぁ〜?」
ナミリは怖くて加恵の
浴衣の袖を握っていた。
「うおーっ!!!!!」
誰かが転んだ。
「大丈夫ですか…?」
これが、拓未とナミリの
始めの出会いだった。
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