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殺し合いごっこ‐LAST CHAPTER‐37

[593]  龍角  2007-09-11投稿
負傷兵の左腕は灰色に変色し、皮膚は鱗の様なもので覆われ始めていた。
「あぁあぁぁァァァァ!!」

負傷兵は左腕を右腕で押さえて悲鳴を挙げている。

しかも一人ではなかった。

あちこちで皆悲鳴を挙げて、痙攣し、そして体が変化していく。

「そんな…オニに傷つけられて無いのに…」

「殺セ…」

負傷兵は最早人としての原形を止どめていなかった。
「殺セ…早クシロ…モウ…我慢デキナイィ…」
「うわぁ…あぁ…」

兵士は銃を構えるが手は小刻みに震えていた。兵士は引き金を引く事は出来なかった。


「あぁあぁぁ!!!!!」








「電気が消えましたね。
この様子では変電室は落ちたみたいですね。」

サングラスを掛けた黒スーツの坊主頭の男は呟く様に言った。

「共和国の科学者共は質が悪いわ。 オニの生きた細胞を弾頭に装填するなんて…」

小学校高学年位の赤いドレスを着た少女はオニの雄叫びの挙がる監視施設を見ながら同じ様に呟いた。

「我々、鬼の使命を果たす為です。 神から与えられた使命を。」

「例の神話の事ね…
やっぱり結局は私達の存在理由はその使命を遂行する為なのね…
だったら何で私達は人間である共和国政府と吊るんでるのかしら。」

「…吊るんでるのではありません。 利用しているだけです。
我々の使命を真当する為には先ずは邪魔な者を始末しなければ話になりません。
それが同じ鬼でもです…」


「そうね…無能で愚かな人間を皆殺しにする前に倒鬼衆と憐華を潰さないと…」

二人はフェンスを乗り越えて深い森の闇の中へと消えて行った。




鬼の集いし伊豆。





何かが起きようとしている。


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