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処刑生徒会長第二話・29

[911]  まっかつ  2007-09-12投稿
信号待ちをするタクシーの中で、一条フサエは狂気に酔いしれていた。

『そんな事よりさあ―私は許さないよ―虫けらの分際で私をこんなに汚し、殺そうとするなんて!あの女と同じ一般庶民ふぜいが、私のパパにまで手を出そうとするなんて!!!絶対・許さない!!!!!』

そして、右隣の九重モエの手をつかんで、

『ねえ、だから手を貸してよ!お金は幾らでも出すからさあ―生徒会長なら、あの梅城ってガキぶっ殺す力位あるんでしょ?』

『何を言ってんの?貴方は?』

九重モエはいよいよ声を険しくした。

だが―\r

『こんな正義も人権も踏みにじる行い!私は守られなきゃならないの!!私に誰も逆らっちゃいけないの!!!それにナツはたて付き、梅城ってガキは否定したのよ!?この私が何をしたって言うのよ!?たかがイジメじゃない!!イジメはね、イジメられた側に原因があるに決まってんでしょ!!!』

『いい加減になさい―』

さすがに露にされたモエの怒りに、しかしフサエは気付く素ぶりも示さなかった。

『イジメで人が死んだ位何よ!?イジメられたやつは軟弱で・暗くて・貧乏で・頭悪くて・そのくせ生意気だからそうされただけ、当然の報いじゃない!!!そいつらが自分を直し、私達の気に入る様に振る舞えば、すぐに止めてやるわよ!!!!それをあの梅城のガキは!!!!!逆恨みでイジメられた従姉妹の仇を討とうだなんて!!!!不届きにも程があるわ!!分をわきまえろってんだよ!!!!あいつに、復讐してやる!!!!』

バシッ

白い掌がひるがえり、乾いた音とともに一条フサエの右頬に、真っ赤な手形が刻印された。

『いたいっ!何すんのよ!?』

その手形を押さえながら、抗議する一条フサエを、九重モエは思い切り睨み付けた。

『どうやら貴方は全ての人が奴隷や従者じゃないと気が済まないみたいね―それでは決して友達は作れませんわ?悲しい事です。貴方はお助けしますが、そんな事ではまた貴方は誰かをイジめ、第二・第三の梅城会長に命を狙われるだけですが、それは貴方の責任でお決めなさい』

そして、モエは思った。

これじゃ梅城ケンヤが心底恨み、殺しにかかるのも仕方がない、と―\r

その時、タクシーはいよいよT駅東口・ロータリーへと到着した。

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