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処刑生徒会長第二話・30

[970]  まっかつ  2007-09-12投稿
ロータリーの中に進入する車から、九重モエと霧島ユウタは、慎重に辺りの様子を確認して―\r

『どうやら第三中学校は来ていないみたいです』

『―降りましょう』

二人は、T駅東階段口の真ん前にタクシーを止めさせて先に降り、再び辺りを警戒しながら、

『さあ、急いで―』

一条フサエの手とり、モエは彼女を階段口へと引っ張った。

『駅構内まで生徒会は手が出せないわ―入ったら、Z区外のどこかの駅まで行きなさい』

だが―\r










ガチャッ

歩き始めたモエ達の真後ろで、ドアの開く音が不吉に響き―\r

振り向いたモエの視界の中で、今しがた乗って来たタクシーの前後二台から、白学ランの生徒達が日本刀を持って一斉に降り出した。

そして―\r

『遅かったな、九重会長―』

一番最後に降りて来た梅城ケンヤが、二人を呼び止めた。

そう。

梅城ケンヤは既に待ち伏せしていたのだ!

『彼女を渡してもらおうか』

ケンヤは一条フサエに向けて手招きした。

地獄への手招きだ―\r

自分の背中に隠れようとするフサエをそのままに、九重モエは大きく両手を広げた。

『彼女に手出しはさせません』

『そんな女をなぜかばう!?知ってるだろう!そいつはイジメグループの総帥だぞ!!』

ケンヤの指示に応じて、特別調査取締班がぐるりと回りを取り囲む中、しかし九重モエは屈さなかった。

『梅城会長、お考え直し下さい―彼女から話は聞きました。確かに許されざる事です―ですが、復讐で解決するとは思えません。暴力や報復でイジメはなくなりません―それはイジメへの敗北なのです』

『はっ!甘いな!甘過ぎる!!』

相変わらずの空理空論にしか、ケンヤには思えなかった。

『こいつに言いくるめられでもしたのか?そこをどきたまえ、君には関係ない!!』

だが―\r

『関係あります!!!』

九重モエは譲らなかった。

『イジメを取り締まるのは良いでしょう―ですが、際限のない粛清や恐怖政治では、かえってイジメグループの思うツボだとは思いませんか!?そんな事をしたって、死んだ人も―ナツさんも生き返りはしません!!』

それを聞くと、梅城ケンヤは足元をぐらつかせた。

確かにナツの名を持ち出されて、彼はこれまでになく動揺していた。

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