処刑生徒会長第二話・30
ロータリーの中に進入する車から、九重モエと霧島ユウタは、慎重に辺りの様子を確認して―\r
『どうやら第三中学校は来ていないみたいです』
『―降りましょう』
二人は、T駅東階段口の真ん前にタクシーを止めさせて先に降り、再び辺りを警戒しながら、
『さあ、急いで―』
一条フサエの手とり、モエは彼女を階段口へと引っ張った。
『駅構内まで生徒会は手が出せないわ―入ったら、Z区外のどこかの駅まで行きなさい』
だが―\r
ガチャッ
歩き始めたモエ達の真後ろで、ドアの開く音が不吉に響き―\r
振り向いたモエの視界の中で、今しがた乗って来たタクシーの前後二台から、白学ランの生徒達が日本刀を持って一斉に降り出した。
そして―\r
『遅かったな、九重会長―』
一番最後に降りて来た梅城ケンヤが、二人を呼び止めた。
そう。
梅城ケンヤは既に待ち伏せしていたのだ!
『彼女を渡してもらおうか』
ケンヤは一条フサエに向けて手招きした。
地獄への手招きだ―\r
自分の背中に隠れようとするフサエをそのままに、九重モエは大きく両手を広げた。
『彼女に手出しはさせません』
『そんな女をなぜかばう!?知ってるだろう!そいつはイジメグループの総帥だぞ!!』
ケンヤの指示に応じて、特別調査取締班がぐるりと回りを取り囲む中、しかし九重モエは屈さなかった。
『梅城会長、お考え直し下さい―彼女から話は聞きました。確かに許されざる事です―ですが、復讐で解決するとは思えません。暴力や報復でイジメはなくなりません―それはイジメへの敗北なのです』
『はっ!甘いな!甘過ぎる!!』
相変わらずの空理空論にしか、ケンヤには思えなかった。
『こいつに言いくるめられでもしたのか?そこをどきたまえ、君には関係ない!!』
だが―\r
『関係あります!!!』
九重モエは譲らなかった。
『イジメを取り締まるのは良いでしょう―ですが、際限のない粛清や恐怖政治では、かえってイジメグループの思うツボだとは思いませんか!?そんな事をしたって、死んだ人も―ナツさんも生き返りはしません!!』
それを聞くと、梅城ケンヤは足元をぐらつかせた。
確かにナツの名を持ち出されて、彼はこれまでになく動揺していた。
『どうやら第三中学校は来ていないみたいです』
『―降りましょう』
二人は、T駅東階段口の真ん前にタクシーを止めさせて先に降り、再び辺りを警戒しながら、
『さあ、急いで―』
一条フサエの手とり、モエは彼女を階段口へと引っ張った。
『駅構内まで生徒会は手が出せないわ―入ったら、Z区外のどこかの駅まで行きなさい』
だが―\r
ガチャッ
歩き始めたモエ達の真後ろで、ドアの開く音が不吉に響き―\r
振り向いたモエの視界の中で、今しがた乗って来たタクシーの前後二台から、白学ランの生徒達が日本刀を持って一斉に降り出した。
そして―\r
『遅かったな、九重会長―』
一番最後に降りて来た梅城ケンヤが、二人を呼び止めた。
そう。
梅城ケンヤは既に待ち伏せしていたのだ!
『彼女を渡してもらおうか』
ケンヤは一条フサエに向けて手招きした。
地獄への手招きだ―\r
自分の背中に隠れようとするフサエをそのままに、九重モエは大きく両手を広げた。
『彼女に手出しはさせません』
『そんな女をなぜかばう!?知ってるだろう!そいつはイジメグループの総帥だぞ!!』
ケンヤの指示に応じて、特別調査取締班がぐるりと回りを取り囲む中、しかし九重モエは屈さなかった。
『梅城会長、お考え直し下さい―彼女から話は聞きました。確かに許されざる事です―ですが、復讐で解決するとは思えません。暴力や報復でイジメはなくなりません―それはイジメへの敗北なのです』
『はっ!甘いな!甘過ぎる!!』
相変わらずの空理空論にしか、ケンヤには思えなかった。
『こいつに言いくるめられでもしたのか?そこをどきたまえ、君には関係ない!!』
だが―\r
『関係あります!!!』
九重モエは譲らなかった。
『イジメを取り締まるのは良いでしょう―ですが、際限のない粛清や恐怖政治では、かえってイジメグループの思うツボだとは思いませんか!?そんな事をしたって、死んだ人も―ナツさんも生き返りはしません!!』
それを聞くと、梅城ケンヤは足元をぐらつかせた。
確かにナツの名を持ち出されて、彼はこれまでになく動揺していた。
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