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MURASAME

[569]  あいじ  2007-09-13投稿
平将門?

亡者達の流れに変化が生まれだした。
蔵王丸や村神を始めとする妖庁の役人には目もくれず、隊列を組むような動きで大手町の将門塚へ流れていく。
「急げ大光明、亡者どもの流れが将門塚へ流れている。奴は帝都に眠る怨霊を全て吸収するつもりだぞ」
「しかし…!」
大光明は悩んでいた。目の前にいるのは己の知っていた可王京介ではない。何故この男が将門討伐にこれほどの執念を燃やすのか全く理解できなかった。
「お前に理解してもらう必要ない。ただ利害が一致しただけだ」
可王はまっすぐ手を伸ばし大光明の瞳を見つめた。
「仕方ない…しっかりつかまっておれ」大光明は華奢な腕で可王の手をひったくるように掴むと片手で印を結んだ。
「孔雀明王延命飛行呪!」そう叫ぶと大光明の背後に巨大な金色の孔雀が現れ、その体を大地から離し、飛翔させた。


帝都に出現した巨大鎧武者は荒ぶる破壊神の如くその巨大な体躯を持て余ますように動き始めた。
「ぐっ…鬼門のときの鬼よりもでかいんじゃねぇか?」
「…さぁ、僕は実物を見てませんからね」
幸司と竜助の二人は鎧武者出現より一瞬早く首塚から飛び出していた。幸司は邪気にあてられていた竜助を引きずり、離れのビルの屋上まで逃げ込んでいた。
「大丈夫か?」
「はい、もう自分で動けます」
竜助は立ち上がり、帝都を闊歩する巨大な怪物に目を向けた。
「先輩…あんなものどうやって…」
「お前はここにいろ、俺が一人で突っ込む」
「無茶です!」
「でもそうでもしなけりゃあの化け物にはかなわない…せめてお前は逃げろ」
「みくびらないでください」
不意に竜助の口調が険しくなる。サングラスの奥の瞳が鈍い輝きをみせる。
「僕も妖庁の役人ですから」
幸司は少し呆気にとられ竜助のサングラスを覗いたが、溜め息をつくと再び鎧武者に向き直った。
「いくぜ竜助。華の十八歳、村雨幸司参上!!」
「はい!!」
第二ラウンドの開始が高らかに告げられた。

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