携帯小説!(PC版)

螺旋

[543]  2007-09-13投稿

燃え盛る炎・・・

ユラユラと、単調ながらも時折見せる恐怖を覚えるほどの火柱が、なぜか美しい・・・

まるで、魂でも宿ったかのように右へ左へ揺らめいている。

俺は、その炎に見とれて微動だにしなかった。
イヤ

動けなかったのだ。

「陽介!!」

いきなり、女性の叫び声が響き渡った。

『あぁ・・千尋かぁ・・』

そう心の中で思ったが言葉にならなかった。

『陽介? そうだ、俺の名前かぁ・・ 俺は、藤原陽介、年は今年23歳になる、仕事はフリーター ・・まあ、好きなときに働いてるって感じかぁ。
千尋は・・ 神木千尋 千尋は、付き合って、まだ二ヶ月半の新しい彼女だ・・・ まだ、二ヶ月半だが初めて本気で、結婚したいと思った相手だ、一番大切な存在・・・』

燃え盛る炎が、わっと我に返した。

俺は、今何を考えてたんだ!?
大体・・・ ここは何処なんだよ??

いきなり、不安がどっと押し寄せてきた。

よく、見ると炎の後ろに建物が見える。
古い・・・ 洋館・・?
建物までは、やや距離があるのでそれぐらいしかわからない・・。

ただ、その洋館がいまは燃え盛る炎に包まれている・・・。
悲しげに、しかし誇らしく、優雅に・・。

俺は、建物を凝視していた。 すると、いきなり洋館の陰から女性の姿が現れた!
俺は、呆気にとられた。
直後に、全身に寒気が走った。 怖い・・。
恐らく、この人生で始めてであるだろう程の恐怖に打ちのめされた。
かすかに、姿が確からめれるほどの距離のはずなのに、なぜかその顔は確かにこちらに向けられていて、殺意のこもった眼差しでこちらを睨んでいる。

すると、いきなり彼女の口が動き出した。

しかし、この距離では聞こえるはずがない。
大体なぜ俺は、口が動き出したことが分かったんだ!?

この距離では、声は愚か顔もまともに見えない。
だが、俺には確信があった。 なぜかは、わからない。 でも、なにかを呟いている。

『ヨ‥ウ‥ 陽‥介‥』
わぁ!!

イキナリ頭の中で、響き渡るような、物凄い声がした。 そ、そんなバカな!!ここまで声が届くはずがない!! しかし、耳にドロドロと纏わりついて声がとれない。 なのに、ところどころ途切れていて内容が聞き取れない。

「陽介!!」
今度は千尋の声だ、その瞬間建物は大きな音をたてて爆発した‥。

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