名もない唄
名もない君は
汚れもしらず
ただ空を求めていた
届くはずのない手を
届くはずのない声を
君は空に届けていた
名もない君は自分を
知らずにいた
風を感じることもなく
暖かさも冷たさも
感じることもなく
ただただ空だけを求めた
君は知りたかった
君はなりたかった
君は歌いたかった
ただそれだけだったのに
何度も何度も
月と太陽が通りすぎていった
数えきれなくなったとき
名もない君は
名もないまま
何もなくなった
ひとつの唄を残して
空はその唄を
名付けた
名もなき唄
と
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