ねぇ、聞いて。
あたしがこの世に産まれたわけを。



真奈は恋をしたの。高校２年生になってすぐに。相手は職員室ですれ違った人だった。
『今の人…誰？あっ、もしかして転校生かな！！』
捺実(ﾅﾂﾐ)は小声で真奈に喋りかけている。
『か…かもね。』真奈はぎこちない返事をかえす。
『さっきの人、たかやん(高津先生)に喋りかけてたよね？聞いてみよっか！』
『う…うん。』
『たかや〜ん、今の人だれだれ？』」
捺実は楽しそうに高津先生と喋っている。

でも真奈はそれどころじゃなかった。
そう、たった一目みただけで恋におちてしまったから。


次の日
「は〜い、みんな席に着いて。」
高津先生が教室に入って来る。真奈も席に着き前を見る。すると先生の隣りにいるのは職員室の彼だった。
ドキ―ッ。
真奈の胸は今にも飛び出しそうだった。
そういえば昨日、高津先生が明日からｸﾗｽﾒｲﾄになるとかならないとか言ってたことを思い出す。

夕べはあれからボーッとして何も考えられずにいたのですっかり忘れていた。
「じゃあ山口君自己紹介してくれる。」
「はい。」彼が前を見て口を開く。
「山口 悟です。よろしくお願いします。」そう言って軽く頭を下げた。
『やまぐちさとる…』真奈は小さな声で呟く。

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