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DECEIT [発端] ?

[569]  etc.  2007-09-21投稿
 車が到着したのは午前11時ジャスト。

 流石は一流ドライバーと言ったところか、毎日狂いなく予定の場所に予定の時刻で到着する。

 毎日がその繰り返しで今は慣れてしまい、もう驚かなくなっていた。

 着いても私は外に出ることは出来ない。

 四人のガードマンが車を取り囲み、辺りを確認する。

 この時間がじれったくて仕方がない。

 ようやく安全と判断した様で、一人のがたいの良いサングラスをした男が黒塗りの扉を開けた。

 「どうも」

 私は愛想無く言葉をかけると、男は似合わない笑顔で会釈をする。

 すでに空は雲っており、今にも雨が降り出しそうだった。

 すると一台赤いのスポーツカーが目の前に大きな音を出しながら急ブレーキをかけて止まる。

 私は驚いて、その場で動けなくなってしまっていた。

 エンジン音が切れると中から一人の凛々しい男性の姿。

 間違いない、正真正銘望様である。

 制服姿とは打って変わり、何とも言えないかっこよさ……。

 ペンギンが空を飛んでしまったかのような襲撃に、立ちくらみがする。

 「よ! 待った?」

 「そんな、待ったなんてこと……」

 あれ?っと思った方もいるかと思うが、いつもこんな感じ。

 「んじゃよかった! 突然で何だけど光はどこか行きたいとこあんの?」

 「望様となら何処でもいいよ……」

 「そう? んじゃそこのテラスでお茶でも飲みながら考えようぜ」

 もうひとつ言い忘れたことがある。

 お気づきの方もいらっしゃるだろうが高校生が何故、車に乗っているのかというところ。

 勿論、日本では車の免許は18歳以上からしか採れなし、公道も免許が無ければ走ることは許されない。

 しかし、公道でなければ走ることは可能である。

 今私たちがいるのは神宮寺家の御屋敷の中、東京ドーム24個分もの敷地面積をもつ大豪邸だ。

 神宮寺カンパニーの経済力を物語っている。

 池の辺のテラスには大理石が詰まれている。

 望様いわく、大自然をイメージしたそうだ。

 私には理解できないけれどね……。

 「さてと、これからどうしようか」

 二人は和やかな雰囲気の中に浸る事を楽しんでいた。

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