航宙機動部隊前史・5
水星は再び不毛と灼熱の大地に戻り、この大惨事を受けて人類は、惑星可住化による移民自体を大きく後退せざるをえなかった。
その分、力を入れられた巨大宇宙船での太陽系外進出は、対称的に至って順調だった。
彼等は単体で、あるいは船団を組み、やがて宙際政治勢力にまで成長する。
これがのちの航宙遊牧民族の原型であった。
航宙遊牧民達は、原則として惑星や固定した植民体には定住せず、移動型の植民体で外宇宙を彷徨い、主に交易と戦争で生計を立てた。
後にはその軍事力で各惑星や植民体間の航路や情報網を押さえ、安全を保証する代わりに手数料・通航料を徴収して莫大な富を蓄え、恒星間勢力にまで拡大を果たす集団も現れた。
更に狩猟民族まで出現した。
彼等は半定住型の植民体を根拠地に持ち、主に各星系の恒星近くや外縁部で、様々な物質やエネルギーを合成し、これを惑星定住民や航宙遊牧民に販売して糧を得ていた。
今いる場所の資源が尽きたり安全が脅かされると居住地を引き払い長い恒星間移動をする事も珍しく無かったが、その頻度は概して遊牧民よりも少ない。
総じて高い技術力と集団性を持ち、局地的な独立勢力を営む例も多数あった。
惑星定住方式は見捨てられたままだった。
水星壊滅事件の記憶を引き擦る人類は、持てる資本・技術・人材をこの方面に投ずるのに、尻込みするままに西暦二七世紀は過ぎてしまった。
だが、二八世紀に入ると、移動型植民体技術の進歩が遂に恒星間宇宙船の実現に繋がり、実用化なった摩擦反応炉(フリクションリアクター)が、光速航行及び他の恒星系への本格的移住を可能にした。
初めてフリクションリアクター推進機関を搭載した恒星間宇宙船《テセウス》号が、西暦二七一二年にまず太陽系外縁からアルファ=ケンタウリ恒星系に向けて出港し、以後三0年間に二八隻の光速宇宙船が、近場(と言っても最大で一00光年と天文学的な距離だ)の恒星系に向けて旅出って行った。
これと併せて人類の活動距離は格段に広がり、逆に彼等の統一主権の拘束力が弱まる事が懸念された。
既に人工植民体の自治力は年々強まり、特に何光年も離れた恒星間宇宙船が、いつ科学・宗教・倫理面等で【異端】と化すか、またそう言った勢力に支配されてしまうかも分からない。
その分、力を入れられた巨大宇宙船での太陽系外進出は、対称的に至って順調だった。
彼等は単体で、あるいは船団を組み、やがて宙際政治勢力にまで成長する。
これがのちの航宙遊牧民族の原型であった。
航宙遊牧民達は、原則として惑星や固定した植民体には定住せず、移動型の植民体で外宇宙を彷徨い、主に交易と戦争で生計を立てた。
後にはその軍事力で各惑星や植民体間の航路や情報網を押さえ、安全を保証する代わりに手数料・通航料を徴収して莫大な富を蓄え、恒星間勢力にまで拡大を果たす集団も現れた。
更に狩猟民族まで出現した。
彼等は半定住型の植民体を根拠地に持ち、主に各星系の恒星近くや外縁部で、様々な物質やエネルギーを合成し、これを惑星定住民や航宙遊牧民に販売して糧を得ていた。
今いる場所の資源が尽きたり安全が脅かされると居住地を引き払い長い恒星間移動をする事も珍しく無かったが、その頻度は概して遊牧民よりも少ない。
総じて高い技術力と集団性を持ち、局地的な独立勢力を営む例も多数あった。
惑星定住方式は見捨てられたままだった。
水星壊滅事件の記憶を引き擦る人類は、持てる資本・技術・人材をこの方面に投ずるのに、尻込みするままに西暦二七世紀は過ぎてしまった。
だが、二八世紀に入ると、移動型植民体技術の進歩が遂に恒星間宇宙船の実現に繋がり、実用化なった摩擦反応炉(フリクションリアクター)が、光速航行及び他の恒星系への本格的移住を可能にした。
初めてフリクションリアクター推進機関を搭載した恒星間宇宙船《テセウス》号が、西暦二七一二年にまず太陽系外縁からアルファ=ケンタウリ恒星系に向けて出港し、以後三0年間に二八隻の光速宇宙船が、近場(と言っても最大で一00光年と天文学的な距離だ)の恒星系に向けて旅出って行った。
これと併せて人類の活動距離は格段に広がり、逆に彼等の統一主権の拘束力が弱まる事が懸念された。
既に人工植民体の自治力は年々強まり、特に何光年も離れた恒星間宇宙船が、いつ科学・宗教・倫理面等で【異端】と化すか、またそう言った勢力に支配されてしまうかも分からない。
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