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航宙機動部隊前史・6

[445]  まっかつ  2007-09-24投稿
人類全体の記憶として、西暦二三世紀の《テクノロジークライシス》はまだ生々しく遺され、伝えられてきた。
遺伝子・クローン技術の進歩が、超人類を製造し、現行人類を支配させよ、と言う新・アーリア思想や、単性生殖・異性排斥思想を産みだし、一部のハッカーが戦略兵器管制システムをコントロールして、全世界の国家機構の解体を要求するビッグ=サイバーテロを引き起こしたり、あるいはバーチャリアリティーの中で創られた仮想国家や宗教に所属し、現実社会を否定し、仮想国家同士の戦争や競争で、本来なら無関係な人同士が現実で殺し合ったり自殺してしまう事件が多発し、人類は正に存亡の危機に立たされたのだ。
その再来が、今度は宇宙規模で起きるかも知れない―\r

だが、余りにも広がり過ぎた時空は、結局この問題を第四次大戦に発展させる事もしなければ、根本的な解決を与えもしなかった。
確かに独自の、中には過激な思想や科学も生まれはしたが、それが人類文明全体に挑戦する事態にまでは至らなかった。
宇宙文明と言っても、西暦二九世紀初めでも人類の総人口は推定三00億。
その内二九九億人が太陽系かその周縁に住み、経済規模でも九五%までをも握っていた。
広がったフロンティアの拘束力が落ちたからと言っても、太陽系連邦は今だ人類のほとんどが帰属する超大国であり、またそうである限り、彼等と一体の宗教・倫理・価値体系が揺らぐ心配等しなくて良かったのだ。

差し当たって、異端問題は、宙際司法・諜報政策の強化で乗り切ろうとされ、事実、この方面では太陽系連邦側対各植民勢力間でかなり熾烈なスパイ戦が闘わされもした。
だが、総じて言えばそれは【コップの中の争い】だった。
軍事的に討伐しようとしても、太陽系からでは各恒星系はとてつもない距離がある上、艦隊が向こうに到着する何年か何十年かの間に、いくらでも逃げられてしまう。

太陽系連邦は仕方なく結果的に目を瞑り、反面各恒星側もまだまだ立ち上げ途上の勢力の弱さから太陽系連邦に依存する必要があり、表立っての悪さは控えた。
良くも悪くもうやむやに済まされた訳だ。

だが、人類最初の太陽系外惑星の可住化が実現すると、そうとばかりも言ってれなくなった。
それは、規模はともかく、機能では太陽系連邦と同格の勢力の出現を意味するからだ。

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