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DECEIT [護衛] ?

[716]  etc.  2007-09-24投稿
 「CIA……。え?」

 「名前だけは知っているようだな」

 光の頭の混乱は更にエスカレートした。

 「望様がCIA……て何?」

 辺りが一度静まり帰ったのを、車内の三人はひしひしと感じていた。

 その空気を裂くように、望が口を開く。

 「……一度しか言わねぇからな。CIA、Central Intelligence Agencyは通称アメリカ中央情報局だ」

 分かったのか分からないのか、微妙な顔をしている光をミラー越しに見つめている望は話を続けた。

 「アメリカ合衆国大統領直属機関だ。大統領の支援・護衛に関わる情報収集・対外工作を行っている」

 「たいがいこうさく?」

 『ホントに気難しい言葉を使うのね……』

 「その”たいがいこうさく”ってのは一体どんな事をするの?」

 光の態度は到底、お嬢様の品格を表しているものとは思えなかった。

 「主な仕事として、情報操作、民衆扇動、プロパガンダ、これは組織的な宣伝活動を意味する。そしてアメリカの脅威となりうる敵組織の指導者の暗殺だ」

 光は”暗殺”という言葉が頭に響いて仕方がなかった。

 好きだった望の口から軽々と出て来た言葉は、光の心に簡単に突き刺さった。

 「……でもそのCIAが何で私の護衛なんかしてんのよ」

 「お前もそういう強気なとこがあんだな。少し安心した」

 「そんなことはどうでもいい! 早くおしえなさいよ!」

 「わぁったから、静かにしてくれ」

 今にも暴れ出しそうな光を見て、慌てて落ち着ける望。

 「話せばとても長くなる、しかもとても衝撃的な事だが全て事実だ。それでもいいのか?」

 「早くしなさい!」

 「はいはい、お嬢様」

 そんな状況のなかでもやはりJは顔色を変ない。

 赤のスポーツカーは道路交通法をしっかり守りながら淡々と突き進む。

 望が口を開いた。

 「君のお父さんの仕事は何だったかな?」

 「そんなこと言わなくても、既に調査済みなんでしょ? CIAさん?」

 望の真面目な顔を見た瞬間に事態の重みを感じた。

 「……ただの貿易業ですが」

 「表顔はな。しかし残念なことに、君の会社は別のビジネスにも手を出したようだ」

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