怪〜KAI〜
座敷わらし?
由良が部屋を見回す。
さっきまで窓を叩いていた風の音が消え旅館全体に溢れていた明るさのようなモノがなくなったような気がした。
「聞かせていただきましょうか。真実を」
つばめが女将に近づく。
「そんな…先刻私が語ったことが全てでございます。しかもそれは昔のこと、私が創り話をしているのだってこの旅館に対して悪い印象を与えない為です」
女将が弁解するが、その瞳が何かを隠していることは由良の目から見ても明らかなことだった。
「隠しても無駄です…その証拠、お見せしましょうか」
つばめの両手が空を斬った。すると部屋の左右に無かった筈の襖が現れ、それが音を発て開いた。
「うっ…!?」
「ひぃ!」
由良と女将が同時に声を上げた。
そこには廊下など広がっていなかった。
「これが…真実」
右の襖には血に染まった死体が何体も放置されていた。皆奇妙なことに身なりが古臭い。
左の襖も同様に血まみれだった。しかし右と違う所はー
「…子ども?」
由良が声を上げる。そう、左の襖には夥しい数の子供達の惨殺死体が転がっていた。皆体をズタズタに切断され、中には胎児と思われるモノもあった。
「右の襖はこの旅館の真実、左は襖は貴女の真実です」
女将はしばらくガタガタと肩を揺らし震えていたがふと立ち上がりつばめと向かい合った。
「そうです。私が殺したんです…」
女将が顔を上げる。その顔はもう人のモノではなかった。
「ええ…そうですよ。みんなみんな私が殺したんです…いいじゃないですか…私の先祖はもっと殺してたんですよ…」
「そうですか」
つばめは言い放つと左の襖の奥へと入っていく、そして一つだけ転がっていた胎児の死体を無造作に持ち上げた。
「貴女の子どもですよ…かわいいじゃないですか」
「…私はあの柳の下で堕胎しました…あの下には私の子ども以外にも埋まっています…だって可哀想じゃないですか…あの下に独りきりなんて」
つばめが嘲笑った。
由良が部屋を見回す。
さっきまで窓を叩いていた風の音が消え旅館全体に溢れていた明るさのようなモノがなくなったような気がした。
「聞かせていただきましょうか。真実を」
つばめが女将に近づく。
「そんな…先刻私が語ったことが全てでございます。しかもそれは昔のこと、私が創り話をしているのだってこの旅館に対して悪い印象を与えない為です」
女将が弁解するが、その瞳が何かを隠していることは由良の目から見ても明らかなことだった。
「隠しても無駄です…その証拠、お見せしましょうか」
つばめの両手が空を斬った。すると部屋の左右に無かった筈の襖が現れ、それが音を発て開いた。
「うっ…!?」
「ひぃ!」
由良と女将が同時に声を上げた。
そこには廊下など広がっていなかった。
「これが…真実」
右の襖には血に染まった死体が何体も放置されていた。皆奇妙なことに身なりが古臭い。
左の襖も同様に血まみれだった。しかし右と違う所はー
「…子ども?」
由良が声を上げる。そう、左の襖には夥しい数の子供達の惨殺死体が転がっていた。皆体をズタズタに切断され、中には胎児と思われるモノもあった。
「右の襖はこの旅館の真実、左は襖は貴女の真実です」
女将はしばらくガタガタと肩を揺らし震えていたがふと立ち上がりつばめと向かい合った。
「そうです。私が殺したんです…」
女将が顔を上げる。その顔はもう人のモノではなかった。
「ええ…そうですよ。みんなみんな私が殺したんです…いいじゃないですか…私の先祖はもっと殺してたんですよ…」
「そうですか」
つばめは言い放つと左の襖の奥へと入っていく、そして一つだけ転がっていた胎児の死体を無造作に持ち上げた。
「貴女の子どもですよ…かわいいじゃないですか」
「…私はあの柳の下で堕胎しました…あの下には私の子ども以外にも埋まっています…だって可哀想じゃないですか…あの下に独りきりなんて」
つばめが嘲笑った。
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