過去はもう戻らない ―序章(2) 始まりは―
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次の日私が学校へ行くと、千春が待っていた。
「はい、この紙に、今日の計画が書いてあるから。時間厳守、必ず来てよ!」
はいはい…。
仕方なく承諾したのに、そんなデカい態度はないでしょ、と私は思うが、そんなこと言える訳がない。私は大人しく席についた。
トン、タン、カツーン−廊下に先生の足音が響く。
遊んでいた男子やペチャクチャお喋りしていた女子は、大慌てで席についた。
先生はいつも同じ時間にくるのに、いつもこれだ。いい加減、学習しろよ、ガキ。
私にとって、クラスの人は、ガキだ。私が一番呆れるのは、クラスの中に仲良しグループをつくって、トイレに行くときも、教室を移動するときも、いつもベタベタ、一緒に行動する女子のヤツラ。クラス変えのたびに仲良しグループをコロコロ変え、そのたびにベタベタくっついていく。本当は誰のことも信用できないくせに、独りじゃなにも出来ないくせに。独りになるのが怖いから、どこかのグループに入る。ガキ。
でも、千春は違った。グループには入らない、なのにクラスに打ち解けていた。凄い。私には真似できない。私はただ、グループをつくるヤツラを冷めた眼で見ているだけ。なにもしない。
いつの間にか授業が始まっていた。一時間目は算数。約数の復習をしているけど、そんなこと、私の耳には入らなかった。
不意に、左手が視界に入った。薬指にある不気味な"傷"が、私のやりきれなさを、さらにかき立てた。
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がちゃり。
鍵が開いた。
「ただいま」
誰も居るわけないけど、言ってみた。
リビングに入るなり、私はランドセルを放り投げて、床に寝た。
寝ころんだままの不自然な体勢で、ランドセルを引き寄せて、中から一枚の紙を取り出した。千春からもらった紙。見るだけ見てみよ。
まずは…と、<時間>のところを見て、私は愕然となった。
…深夜…!
集合時間のところに、なんとと書かれていたのだ。その横には、[大人に気ずかれたらヤバいから、深夜に行動しま〜す!]と書いてあった。
…どうもご丁寧に!
改めて、この冒険(千春によると探検)に巻き込まれたことに、私はすごく後悔した。
だって、こんな冒険に行かなきゃ、あんなことにはならなかったんだから−。
次の日私が学校へ行くと、千春が待っていた。
「はい、この紙に、今日の計画が書いてあるから。時間厳守、必ず来てよ!」
はいはい…。
仕方なく承諾したのに、そんなデカい態度はないでしょ、と私は思うが、そんなこと言える訳がない。私は大人しく席についた。
トン、タン、カツーン−廊下に先生の足音が響く。
遊んでいた男子やペチャクチャお喋りしていた女子は、大慌てで席についた。
先生はいつも同じ時間にくるのに、いつもこれだ。いい加減、学習しろよ、ガキ。
私にとって、クラスの人は、ガキだ。私が一番呆れるのは、クラスの中に仲良しグループをつくって、トイレに行くときも、教室を移動するときも、いつもベタベタ、一緒に行動する女子のヤツラ。クラス変えのたびに仲良しグループをコロコロ変え、そのたびにベタベタくっついていく。本当は誰のことも信用できないくせに、独りじゃなにも出来ないくせに。独りになるのが怖いから、どこかのグループに入る。ガキ。
でも、千春は違った。グループには入らない、なのにクラスに打ち解けていた。凄い。私には真似できない。私はただ、グループをつくるヤツラを冷めた眼で見ているだけ。なにもしない。
いつの間にか授業が始まっていた。一時間目は算数。約数の復習をしているけど、そんなこと、私の耳には入らなかった。
不意に、左手が視界に入った。薬指にある不気味な"傷"が、私のやりきれなさを、さらにかき立てた。
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がちゃり。
鍵が開いた。
「ただいま」
誰も居るわけないけど、言ってみた。
リビングに入るなり、私はランドセルを放り投げて、床に寝た。
寝ころんだままの不自然な体勢で、ランドセルを引き寄せて、中から一枚の紙を取り出した。千春からもらった紙。見るだけ見てみよ。
まずは…と、<時間>のところを見て、私は愕然となった。
…深夜…!
集合時間のところに、なんと
…どうもご丁寧に!
改めて、この冒険(千春によると探検)に巻き込まれたことに、私はすごく後悔した。
だって、こんな冒険に行かなきゃ、あんなことにはならなかったんだから−。
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