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空を見て

[205]  こくしん  2007-09-29投稿
空を見上げた。

特に意味があったわけじゃない。
駅のホームから星のない夜空を見上げただけ。
いつもより少しだけ遅い帰り。
夜空が少しだけ珍しく見えたから。
僕が視線を戻すと、僕の横にたっていた女の人も空を見ていた。
不意に彼女が視線を戻した。
目が合った。
僕は慌て視線を逸らす。その時、視界の端で彼女が笑うのが見えた気がした。
ホームに入ってくる電車。
僕と彼女は同じ車両に乗る。
僕はイヤホンから流れてくる音楽に耳を傾けながら、本を読む彼女を見ていた。
それはホームで空を見た時と同じで、特に意味のないものだ。
彼女が僕の降りる駅の1つ手前の駅で降りるまで僕の視界には彼女がいた。


次の日。
特に用事があったわけじゃない。
なんとなく。
あの時、空を見たのと同じ。
意味もなく時間を潰して、空が夕焼けから夜空に変わるのを待った。
昨日と同じ場所で電車を待つ。
しばらくすると、僕の隣りに彼女が立った。
ホームに入って来る電車。
僕と彼女は同じ車両に乗った。


次の日も、その次の日も、僕は彼女と同じ時間に帰った。
あの時、空を見上げたのがいつだったか思い出すのに時間がかかるぐらい日にちがたった。
彼女が来なかった。
それはきっと、あの日僕が空を見上げたのと同じで、特に意味があったわけではないのだろう。
次の日も、その次の日も彼女はいなかった。
最後に彼女を見たのがいつだったか思い出すのに時間がかかるぐらい日にちがたった。
僕は空を見た。
星のない空を。
あの日空を見上げたように、特に意味もなく、僕は足を動かした。
なんとなく、この車両に乗りたくなかった。
僕は空を見ていた。
だから、僕は気づかなかった。
隣りに人が立っていたのに。
その人も気づかなかった。
その人も空を見ていたから。
ぶつかる2人。
とっさに謝ろうとした言葉が止まった。
彼女だったから。
彼女は笑った。
それにつられて僕も笑ってしまった。

そして僕は……

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