携帯小説!(PC版)

黒竜

[723]  金田七耕助  2007-09-29投稿
 東京の真ん中から西に走る中央線だが、夜中になり三鷹を越え郊外に出ると、窓の外の風景も淋しくなり、闇の中に点々と街の光が見え、まるでこの世ではないような、切なささえ覚える。
 そんなことを考えながら、ぼんやりと窓のすぐ下の線路を見ると、黒い影が電車と平行して地面すれすれを走っている。
 よく見ると、巨大なナマズのようだが、ウロコからして竜だ。黒い竜だ。
 ガタンガタンと揺れるたびに、乗客が窓から竜の手で掴み出され、食われている。
 今度は俺の番だ。立って逃げよう。
 立ち上がったら、吊り革に頭が当たって、目が覚めた。
 夢か?夢で良かったのか…

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