翼 11(終)
放課後の屋上で二人は夕空を見つめていた。
「妹さん?」
雄二には妹がいた。
だが、雄二が高校生で、妹が中学生の時、いじめを苦に自殺したのだった。
「なんか最初志保里と会ったら、ダブっちゃって。ダブったって言えば、留年したって言ったろ?いじめが理由だって知ったとき中学に殴り込んで、それが問題になって、留年になった」
「そんな…」
「今回も俺に言わせれば里見に殴り込んでやりたいけどよ。志保里、理不尽に負けるなよ」
「え…」
「文句言ったり、殴り込んでもどうにもならないことがあるんだよ。だから、そこで負けるな。お前は自分で退学を選んだ。里見から逃げ出したわけじゃないけどな」
「もちろん」
「俺を助けてくれた。妹は死んじまったけど、お前まだ生きてるから。逃げ出したい時は逃げろ。負けちまうよりはるかにマシだ。」
「うん」
「あと出来れば泣くな」
志保里はまた泣いていた。
「こういう…性格なの」
「そうか」
夕陽が二人の前に落ちて眩しくなってきた。
目をそらした先に二人はお互いの瞳を見た。
二人は口づけを交わした。
雄二がそのまま志保里の手に握らせた手のひらの中には、生前妹が買った安物の指輪が握られていた。
「神谷志保里さん、結婚して下さい」
「妹さん?」
雄二には妹がいた。
だが、雄二が高校生で、妹が中学生の時、いじめを苦に自殺したのだった。
「なんか最初志保里と会ったら、ダブっちゃって。ダブったって言えば、留年したって言ったろ?いじめが理由だって知ったとき中学に殴り込んで、それが問題になって、留年になった」
「そんな…」
「今回も俺に言わせれば里見に殴り込んでやりたいけどよ。志保里、理不尽に負けるなよ」
「え…」
「文句言ったり、殴り込んでもどうにもならないことがあるんだよ。だから、そこで負けるな。お前は自分で退学を選んだ。里見から逃げ出したわけじゃないけどな」
「もちろん」
「俺を助けてくれた。妹は死んじまったけど、お前まだ生きてるから。逃げ出したい時は逃げろ。負けちまうよりはるかにマシだ。」
「うん」
「あと出来れば泣くな」
志保里はまた泣いていた。
「こういう…性格なの」
「そうか」
夕陽が二人の前に落ちて眩しくなってきた。
目をそらした先に二人はお互いの瞳を見た。
二人は口づけを交わした。
雄二がそのまま志保里の手に握らせた手のひらの中には、生前妹が買った安物の指輪が握られていた。
「神谷志保里さん、結婚して下さい」
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