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君よ永久に

[566]  しんや  2007-09-30投稿
麗子と別れて二年が過ぎただろうか。麗子は完璧な女だった。貧しい家の事情から高校を出てすぐに就職した彼女だが、本当は大学に進み、素粒子物理学を専攻したかったようだ。物質の根源を突き止めたかったらしい。
聡明で美しい女だった。一生懸命働き、両親を支援していた。
そんなある日、麗子は職場のお偉いさんから突然プロポーズを受けた。麗子にとっては突然だったが、お偉いさんは真面目に働く麗子の事をずっと見守っていたのだろう。
お偉いさんだけあって収入が桁違いだ。結婚すれば麗子は確実に両親を楽にしてやれる。
俺に甲斐性があれば何の問題も無かったが、コンビニのアルバイトである俺に麗子とその両親を助けられる力は無かった。
ある日麗子は死にそうなほど申告な顔で俺に何かを打ち明けようとした。別れて欲しいと。俺が尋ねる前に理由を話し始めたのは、彼女の思いやりだった。
麗子の両親の事情を重々知っていた俺は別れを受け入れた。プライドが傷付くなんて事は微塵も無い。一番辛かったのは麗子だ。麗子は止めどもなく涙をながしながら去って行った。
それから麗子がどうなったのかは分からない。きっと両親共々幸福に暮らしているのだろう。
俺は時々ふと思う。麗子、来世は俺が君を幸せにしてやるからな、と。

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