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ペイルブルー(3)

[241]  詠池 景  2007-09-30投稿
それからしばらくの間、僕たちは何もなかったようにいつもの日々を過ごした。
僕の中に残っていた美沙子の乳房や腰の感触も消えかかっていた頃メールがきた。

こないだのお礼がしたいんけど…。今晩は時間とれない?

お礼?旦那さん、出張?

今日は食事だけだよ(*^^*)

いいよ

僕は会社から2駅離れたスペイン料理の店を予約した。


ワインで乾杯すると美沙子のほうから話始めた。
「こないだはごめんなさい」
美沙子はちょこんと頭を下げてそう言った。
「おい、おい。やめてくれよ」
「奥さん大丈夫だった?」
「大丈夫だよ。ご心配なく」
その後僕たちは、メインディッシュの皿がさげられるまで、会社のことや家庭のことなど他愛のない会話を続けた。
美沙子はハーブティーの注がれたカップを見つめて言った。
「結城君、何も聞かないんだ」
「え?何を?」
僕は口に含んだ濃い過ぎるエスプレッソを一気に飲み込んだ。
「こないだのこと」
「酔ってたから…」
「私、酔ってなかったよ」
「俺は…」
僕は雰囲気に押されて、瞬間、言葉を選ぶ作業ができなかった。
「うん。いいの。やっぱよそ。素敵な想い出ってことにしとく」
「…」
「ホントだから」
「え?」
「こないだ言ったこと」
「あ、ああ」
「迷惑ってわかってるけど。ホントなんだ」
「うん」
「ずっーと思ってること知ってほしかったんだ。そのあとはちょっとオマケ」
美沙子はちょっと舌を出してハーブティーを飲み干した。
僕の中に美沙子の感触が少し蘇ってきた。
「もう一軒くらいいいかな?」
「いいよ」
こないだと同じくらい美沙子は艶っぽい目元になっていた。
店を出ると僕たちは行く当てもなく歩き始めた。
「この辺はよくわかんないね」
「あまり来ないからね」
いつのまにか美沙子は僕の肩に寄りかかり、僕は美沙子の肩を抱いていた。美沙子の感触が完全に蘇ってきた。
手頃な店をみつけられないままに駅の近くまできた。
「帰ろうか?」
「そうね。今日はね」
「オマケなしだね」
「オマケほしいの?」
美沙子は僕の顔を見上げて悪戯っぽく笑った。
「ほしいな。オマケ」
「どうしよかなあ」

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