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銀河大戦記?

[426]  鈴里ユウ  2007-10-04投稿
ドーリア連邦軍のアルバート・アレンビー少将は、この日非番で、趣味の釣りをしていた。
首都グラフトンの郊外にあるこの湖は、「ミール湖」といって、かつて名を残した共和主義者が、その名称の由来だ。
暖かい陽気の中、アレンビーは竿を自動モードにして、うたた寝をしていた。

「また釣りか」
その声でアレンビーは目を覚まして、ぼーっと振り向いた。
「…なんだ、ボルドーか」
アレンビーは、いかにも面倒臭そうに言った。
ボルドーと呼ばれた赤毛の青年は、お構いなしに話を続けた。
「最高幕僚会議議長のドゥボス元帥がお呼びだ」
「はぁ?今日は非番だぞ」
「お呼びだぞ」
ボルドーは意地悪くニヤリと笑って言った。「…さてはお前、議長にその事を言ってないな?ひどいなぁ」
「分かってるなら、ほらっ、早く行くぞ」
アレンビーは、舌打ちして、いかにも、いやいやという感じ立ち上がった。その碧い瞳に明らかに落胆の気持ちを込めて、二才年上のボルドーを見る。
「あともう少しで大物が釣れたのに」
ボルドーは、置いてあった旧式のバケツを覗き込んだ。
「…その心配はなさそうだけどな」
アレンビーは、ふんっと鼻を鳴らして歩き出したのだった…

…この会話は、後世に全く伝わらなかったが、二人の名前はよく知られるようになる。
この当時、彼らは連邦軍にとって、期待された存在であった。
アレンビーはまだ二十八才であり、その若さで艦隊副司令官を務めており、その判断力と、識見は多くの人物が認める所である。
ただ私人としては、女性と交際もせず、釣りばかりしてるので奇人扱いされ、成功者であっても、不思議と嫉妬されなかった。
後日、その彼が密かに政治家と交流をもっていたことが分かると、誰もが驚いたものである。

ボルドーは、三○才という若さで艦隊司令官の地位にあり、階級は中将。年下のアレンビーとは士官学校からの友人であり、その寛容さと、戦場での勇敢さで名が通っていた。

「アルテミシオン星域会戦」によって、連邦軍は多くの人材を失った。
そのことが、彼らのような若手を、表舞台に押し上げることになったのだ。

また、アレンビーはその出自から、様々な人に知られていた。
「アレンビー」というのは養父の姓であり、本当の姓は「アファーム」。初代連邦元首フランシス・アファームの孫にあたる人物だった…

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