裏道6
その後何人かに気になる人ができたのだが、今一歩気持ちが踏み出せずにいた。そんな日々が続いていた高一の秋、クラスに転入生がやってきた。名前は佐山夏希、綺麗な顔、茶色の髪の毛、細い体、それと年令はなぜか一つ上だった。夏希は友達を作ろうともせず、いつも一人だった。最初はそんな彼女に対してクラスメイトは気を使って仲良くなろうと話かけたりしていたが、全く心を開かない態度に次第に話かける人は日を追う毎に減っていった。そうなってくると今度は悪い噂が立ち始めた。彼女は不良でタバコが原因で前の学校を退学になったとか、援交で売りをやってるなど…。そうして季節が冬に差し掛かった頃、席替えがあり総二は夏希の隣の席になった。何を話してもクールな彼女に対して、総二は気にせずいつも話し掛け、くだらない話をした。するといつしか彼女は時々笑うようになった。その笑顔を見ると総二は幸せな気分になれた。二学期が終わり冬休みに入り夏希の事ばかり考えている自分に気付き、これは恋だと総二は確信した。勉強は嫌いだったので、いつもは短いと感じていた冬休みがとても長く感じた。三学期が待ちどうしかった。早く夏希の笑顔が見たかった。そして始業式の日、隣の席に夏希はいなかった。
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