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航宙機動部隊前史・13

[420]  まっかつ  2007-10-06投稿
劣悪な環境・過酷な労働・改善しない貧困―\r

系外惑星入植者達の逃亡・放棄が続出し、それは惑星可住化方式による移民事業への敬遠の風潮を産み出した。
人工植民体の方が、確かに製造・運営にコストがかからないし、余計な苦労も要らない。
わざわざ大勢の人間を犠牲にし、しかも人権に反する事態を見過ごしてまで惑星開発にこだわる理由が本当に有るのか?
だったらより巨大なコロニーや宇宙船を建造し、増加する系外移民の需要に応えれば良いだけの事ではないか。
人々の多くが、そう考えた。
確かにこの点、軌道周回型・もしくは自航型人工植民体の方が、圧倒的に良好な環境を提供出来たし、融通も利いた。
食糧・資源やエネルギーは、船内プラントで大体調達出来るし、足りない分は立ち寄った星系の小惑星から掘り出したり、遊牧民・狩猟民から購入すれば良い。
詰まり、惑星開発等しなくても、人類はこの方式で幾らでも拡大し、繁栄出来る―これがやがて、意見の大半を占める様になった。

この風潮に危機感を持った宇宙連盟は、停滞し切った惑星開発事業の梃子入れの為、苦肉の策を講じた。
銀河元号二四八年に制定された《惑星入植者優待法》を皮切りとした一連の優遇措置だ。
実はこれが、後の星間諸侯誕生の原点になるのだが、この時点では飽くまでも自発的に惑星開発に取り組みながらも様々な事故や障害に苦しみ、多くの犠牲を出して命まで落とす入植者達を救済すべく打ち出された政策だったのだ。
特に初代入植者には十分な見返りと保障が与えられる様に配慮される事になった。
例えば、初代入植者にはその惑星の全ての土地の所有権が平等に与えられ、新しい入植者にそれを譲り渡した後も、九九年間は、そこから上がる全収入の三%を慰労報酬として支払われる。
又、その惑星が発行した債権の五%が自動的に彼等に分配され、毎年必ず額面の二%に当たる資金が分配される。
更に、一種の《嫁取り促進》を目当てに入植者達の結婚・出産を奨励すべく、与えられた特典の大半はその星系で暮らす事を条件に子弟達に与えられる事も定められた。
これ等の救済事業が、やがて特権と化し、利権と化し、法外な蓄財の温床となり、何時しか閉鎖的な貴族階級の誕生と肥大化を促進してしまうとは、この時点では誰も予測出来なかった。

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