少女1
『私の気持ちなんてわかるわけない!』
少女は玄関を飛び出した。
靴をつっかけ。
階段を走りおりた。
二番目に近い公園のブランコまで走った。
幼い頃は良く日が沈むまで母といた公園。
一番近い公園よりも
夕日に照らされた二人の長い陰をたくさん見ながら帰れるから
好きだった。
しばらくブランコを漕ぐと
その単調な動きにすぐ飽きてしまった。
ブランコをとめ、顔をあげ、気付いた。
『何かがない』
無かったのは
ブランコを勢い良く蹴りあげるとき足に触れそうになる木だった。
その木が生い茂っていたはずの場所には
はかない姿をした
切り株だけが残っていた
母親に
『見てみて。もうすぐでとどきそう』
とはしゃいでいた木は
不恰好に細い弦の巻き付いて
精気がないながらも
凛とした風貌と
しっかりとした根を地球にはっていた。
少女はまだ生きる木に
手を合わせ 頭をさげた。
つづく。
少女は玄関を飛び出した。
靴をつっかけ。
階段を走りおりた。
二番目に近い公園のブランコまで走った。
幼い頃は良く日が沈むまで母といた公園。
一番近い公園よりも
夕日に照らされた二人の長い陰をたくさん見ながら帰れるから
好きだった。
しばらくブランコを漕ぐと
その単調な動きにすぐ飽きてしまった。
ブランコをとめ、顔をあげ、気付いた。
『何かがない』
無かったのは
ブランコを勢い良く蹴りあげるとき足に触れそうになる木だった。
その木が生い茂っていたはずの場所には
はかない姿をした
切り株だけが残っていた
母親に
『見てみて。もうすぐでとどきそう』
とはしゃいでいた木は
不恰好に細い弦の巻き付いて
精気がないながらも
凛とした風貌と
しっかりとした根を地球にはっていた。
少女はまだ生きる木に
手を合わせ 頭をさげた。
つづく。
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