漆黒の翼 10
不思議な事にさっきまでの禍々しい殺気は感じていなかった。
龍華がしゃがみ込み、腕を優しく握り上げた。
またしても不思議な事にこの男に対する恐怖や警戒心は龍華の暖かい手に触れた瞬間、何故か安心感に変わった。
「そんなに深くは無いな。
これで直ぐに治る。」
龍華はそう言うと手の平を患部へと近付けた。
患部の辺りがやわらかい緑の光に包まれた。
たちまち傷は治癒し、痛みは消えていき体は心地良く暖かくなっていく。
しかし麗奈は傷口など見ていなかった。
彼女は龍華の顔をまじまじと見つめていた。
さらさらの銀髪、長い睫毛、そして通った鼻筋。
そして何より不思議な輝きを放つ紫の瞳。
彼の美しい顔たちは先程は恐怖が覆い隠していたが、今の柔らかい表情はその魅力を最大限に引き出している。
彼女は思わず
「きれい…」
と呟いた
「そうだよな…
この魔法の光…」
「え…!?
うん……」
「!?
どうしたの?」
麗奈は顔を真っ赤にさせて俯いた。
「きれいなのは貴方の顔。」だなんて口が裂けても言える筈が無い。
*
「これでわかったでしょう…
彼が悪い奴では無い事を…」
エルファがメタボ天使の耳元でそう呟くとメタボ天使は激しく首を縦に振った。
「その通りでした…
申し訳ありません…
誤解してしまって…」
「私に謝らないで下さい。
謝る相手が違いますよ。」
「はい…
おっしゃる通りです…」
メタボはそれ以上何も言えなかった。
*
「これで良し…
しばらくは無理に動かすなよ。」
「はい。
ありがとうございます。」
麗奈はペコリと頭を下げた。
メタボも嫌々頭を下げた。
「これで用は済んだな。
行くぞ。」
そう言うと3人は軽く会釈し、踵を返した。
数分後…
『あぁ!!
名前聞いておくの忘れてたぁ!!
ついでにメルアドも…』
麗奈は酷く後悔していた。
第一章…完
龍華がしゃがみ込み、腕を優しく握り上げた。
またしても不思議な事にこの男に対する恐怖や警戒心は龍華の暖かい手に触れた瞬間、何故か安心感に変わった。
「そんなに深くは無いな。
これで直ぐに治る。」
龍華はそう言うと手の平を患部へと近付けた。
患部の辺りがやわらかい緑の光に包まれた。
たちまち傷は治癒し、痛みは消えていき体は心地良く暖かくなっていく。
しかし麗奈は傷口など見ていなかった。
彼女は龍華の顔をまじまじと見つめていた。
さらさらの銀髪、長い睫毛、そして通った鼻筋。
そして何より不思議な輝きを放つ紫の瞳。
彼の美しい顔たちは先程は恐怖が覆い隠していたが、今の柔らかい表情はその魅力を最大限に引き出している。
彼女は思わず
「きれい…」
と呟いた
「そうだよな…
この魔法の光…」
「え…!?
うん……」
「!?
どうしたの?」
麗奈は顔を真っ赤にさせて俯いた。
「きれいなのは貴方の顔。」だなんて口が裂けても言える筈が無い。
*
「これでわかったでしょう…
彼が悪い奴では無い事を…」
エルファがメタボ天使の耳元でそう呟くとメタボ天使は激しく首を縦に振った。
「その通りでした…
申し訳ありません…
誤解してしまって…」
「私に謝らないで下さい。
謝る相手が違いますよ。」
「はい…
おっしゃる通りです…」
メタボはそれ以上何も言えなかった。
*
「これで良し…
しばらくは無理に動かすなよ。」
「はい。
ありがとうございます。」
麗奈はペコリと頭を下げた。
メタボも嫌々頭を下げた。
「これで用は済んだな。
行くぞ。」
そう言うと3人は軽く会釈し、踵を返した。
数分後…
『あぁ!!
名前聞いておくの忘れてたぁ!!
ついでにメルアドも…』
麗奈は酷く後悔していた。
第一章…完
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